地獄の時間はまったくの無駄に終わった

鈴木智彦『ヤクザ2000人に会いました!』(宝島社)
鈴木智彦『ヤクザ2000人に会いました!』(宝島社)

あとで分かったことだが、このとき、組長は針先の調節を間違えていたうえに、回転数は規定の2倍以上のスピードだった。これでは皮膚をガリガリ削りとってしまい、墨などまったく入らない。

実際、その場所は2週間経たっても化膿かのうしたままで、染料が定着せず、まったく白いままだった。若い衆が想像を絶する痛みに耐え忍んだ地獄の時間は、まったくの無駄に終わったわけだ。

この若い衆は辛抱強く耐えたため、ドラえもんを彫られることはなかったが、その1カ月後、組長は悪戯心いたずらごころから別の若い衆にケムンパスとあくびちゃんを彫ってしまった。うつぶせに寝ているときは何を彫られているか確認できず、仕上がりを見た若い衆は、男泣きしたそうだ。

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