ワークとライフはインテグレートする時代

「ライフ・ワーク・インテグレーション」という言葉をご存じでしょうか?

ワークとライフを分けて考えるのではなく、共に人生の重要な構成要素として統合的に捉える概念のことです。両方を豊かにすることによって、人生をより豊かにしようという考え方なのです。経済同友会が2008年にかかげた概念で、まだ日本では認知度は低いものの、新しい生き方や働き方として、近年注目を集め始めています。

コロナ禍の影響もあり、リモートワークが急速に増え、わたしたちの人生におけるワークとライフの境界線が薄れつつあります。働く時間だけでなく、働く場所も柔軟になってきています。働き方が大きく変わりつつあるなかで、従来の「ワーク・ライフ・バランス」に代わって、これからの時代により適した考え方が、ワーク・ライフ・インテグレーションなのです。

勤務時間ではなく、仕事の質を重視すべき

日本ではこれまで、仕事の比重が大きく、仕事の時間や場所の自由度が低かったことも影響して、ワークとライフを分けて考えざるを得ない状況が続いてきました。ワーク・ライフ・バランスを向上させようとしても、両者を分けて認識していることで、どちらかを大切にしようとすると、片方を犠牲にしているような気がしてしまう。

例えば、「子育てをするために、仕事をする時間を制限している」「仕事で成果を上げるためには、家族と過ごす時間を削らざるを得ない」という感じです。

これからの時代、わたしたちの仕事は、単なる従来の延長ではなく、新たなことを生みだしたり、イノベーティブな取り組みにチャレンジすることが増えていきます。求められることは、働く時間の長さではなく、アウトプットの質にシフトしていくでしょう。

充実したライフから生みだされるアイディアや考え方が仕事の質を向上し、より生産性や創造性を高めていくことは想像に難くありません。その観点からも、仕事も生活も人生の一部と捉えて、相互作用によって人生全体の充実を図ることが、これからの世のなかではますます必要になっていくと思います。