夕方からの子育ては「第2ラウンド」

今回のヒアリングで、ワーキングマザーから共通して語られた言葉があります。

それは、「時間に追われる」と「罪悪感」です。

朝起きてから子どもを保育園に預けるまでの分刻みの対応から、ワーキングマザーの1日が始まります。出社した後も、お迎えの時間に間に合うように仕事をこなし、夕方には保育園に子どもを迎えに行き、子どもを寝かしつけるまで続く、一瞬たりとも気が抜けない時間。

夕方からの子育てを「第2ラウンド」と表現された方が複数いらして、なるほどなぁ、名言だなぁ、と感心させられました。しかもこの第2ラウンドは、「大人が思うように時間は進まず」かつ「親は常に選択を迫られている」時間なのです。

でも、当事者の時間に追われている大変さは、職場の方々には伝わりにくいもの。会社を定時で帰ろうとすると「早く帰れていいね」と同僚に声をかけられ、これから第2ラウンドへ向かうわたしは辛いんだけど……、と複雑な気持ちになったという声も結構聞かれました。

母親のワークライフバランス
写真=iStock.com/Nuthawut Somsuk
※写真はイメージです

職場にも、家庭にも申し訳ない気分

また、第2ラウンドに向かおうとしている時間帯でも、仕事を頼まれることもあれば、問題が発生して会議が終わらないこともあります。保育園へ子どもを迎えにいくために、自分だけ先に仕事を切り上げて、退社しなければいけない場合も出てくるでしょう。

そうなると、会社の上司や同僚、チームメンバーに対しても、ゆっくりと向きあえない子どもや家族に対しても、どちらにも申し訳ない気分になってしまう。

彼女たちは職場と家庭でかかわる、両方の人々への「罪悪感」を抱いていました。

一方で、ミレニアル世代のワーキングファーザーの方々との会話では、家事や子育ては女性の役割というバイアスに対する意識変化が、予想以上に進んでいると感じました。

それと同時に気づいたのは、仕事と子育てを両立している女性の多くが感じてきた「罪悪感」を、彼らも同じように感じている事実です。

子どもが病気になった時に急に仕事を休むことなどに関する職場への罪悪感と、子どもやパートナーとの十分な時間を持てない罪悪感を、彼らもまた抱えていたのでした。