赤字続きの老舗ホテルを救うにはどうすればいいのか。北海道の帯広市にある「森のスパリゾート・北海道ホテル」は「サウナ」に注力することで、赤字体質を抜け出し、全国から「サ活客」が押し寄せる人気ホテルに生まれ変わった。なぜサウナだったのか。林克彦社長に聞いた――。
森を残すためにホテルを買収
――サウナで話題のホテルですが、林社長が経営に関わるようになったきっかけと、ホテルの歴史について教えてください。
【林克彦】十勝毎日新聞社の社長だった私の父親が、バブル崩壊後に赤字続きになってしまったホテルをどうにかできないかという相談を受けて1991年に買収しました。その後、兄が「十勝毎日新聞社」の代表に、私が「森のスパリゾート・北海道ホテル」を引き継ぐ形で社長に就任しました。
ここには当初からリスが住む森があったそうで、この土地が誰かに買われて森が壊されるのを非常に残念がった父が買い取ったと聞いています。父は仕事の傍ら、世界各地を旅していたこともあってか、市街地の中にある森の希少価値の高さをを知っていたんでしょうね。
前身となった「北海館」というホテルは、客室数が少ないことも赤字の原因の一つだったそうです。そこで、元の建物を覆うような形でL字型に増改築して部屋数を増やし、現在の建物の原型が出来上がりました。十勝産のレンガを60万個以上使ってアイヌ模様をあしらった重厚感のあるデザインからもおわかりいただけるかと思いますが、われわれが運営し始めてからは50代以上のお客さまが中心でした。
ただ、ご利用いただいている50代以上のお客さま頼みになってしまうと、20~30年後の存続が危うくなってしまいます。若いお客さまにも来ていただくにはどうしたらいいかといったことは、私どもの長年の課題でした。