解決策は多重下請けを禁止することだが…
これは物流業界に関する「アクセンチュア」による研究結果でも指摘されています。日本の「多重下請けによる中抜き」を認めるルールがトラック運転手の労働条件を悪化させているのです。
この多重下請け禁止に関する米国型の制度への移行により環境が良好になるとの指摘がされており、解決策は実にはっきりとしています。物流業界だけではなく他の業界も多重下請けが生産性を下げ、労働環境が悪化している原因です。
しかしこういった調査の結果は、なぜか日本では大きく報道されず興味を持つ人も多くはないのです。現場に目をつぶってしまい、解決策がわかっているのに無視している日本人は海外の人からするとたいへん不思議な存在です。
勤勉だけど、本当は仕事が好きではない
日本では自分が不幸だと考える人は少なくありません。その大きな理由は、日本人の労働条件が悪くて給料も安く、仕事に関するストレスがあまりにも大きいことです。
日本人は他の国の人よりも勤労意欲が高く、真面目で手を抜かず熱心に働くのですが、仕事自体は大きなストレスがかかっていると思っており、本当は仕事が好きではない人が多いのです。
たとえば、たいへん興味深いことに、コロナ禍では日本の自殺が20%も減っているのです。産業医による分析では、コロナ禍で出勤しないことが増えたことで自殺激減に大きく貢献したというのです。
テレワーク業務が普及したことにより職場に行かないので、苦手な人と顔を合わせる必要がなくなりストレスが激減。オンライン会議では威圧的な人の影が弱くなるので、以前より自由闊達に意見を述べることができたようです。
これではっきりするのは、日本人は職場で人と接触したくないと思っている社員が多いことです。日本の職場はプレゼンティズム、つまり「職場に物理的にいること」を強要するところが多く、知識産業や大学でさえも職場に来ることを求めるのです。