劣悪な環境で働いていても同情されない

これはアメリカ、イギリス、カナダではわりとふつうのことで、私も突然解雇になって警備員に抱えられてオフィスから連行される人を何人も見たことがあります。

これらの国の高賃金の企業は、利益率や実績に厳しいため、このような厳しい解雇が当たり前です。実績は数値で提示され、女性や子持ち、病気持ちでも関係ありません。パフォーマンスがわるく、会社の利益に貢献しないのであれば容赦なく「さようなら」です。会社はお金を稼ぐところなので当たり前という考え方なのです。

これは前線の歩兵が、士官を集団で殴りつけるとか銃撃するようなことと似ています。旧日本軍でもかなり稀にこういうことがあったようですが、現代の日本人は怒りのパワーがないのか、現場の環境に満足してしまうのか、そのようなことはしないようです。

外国人が不思議に思うのは、特に他の先進国の場合は、日本人と同じような仕事をしているのに、はるかに良い就労環境で働いています。人によっては日本人よりも給料を2倍から3倍もらっているのにもかかわらず、日本人はそのひどい環境と安い給料に耐えまくっているということです。

左右の手に持たれたコインの量の違い・賃金格差のイメージ
写真=iStock.com/AndreyPopov
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彼ら外国人はそんな環境下にいる日本人をかわいそうとは思わないのです。

なぜ日本人が怒らないのか、怒るパワーすらないのか、それとも外のことを知らずに自分がひどい扱いをされているということに気がつかないバカなのか、と外国人は思っているのです。

日本人の労働環境が改善しない根本原因

日本人は自分の給料が安く就労環境がひどいと、他の人に「こんなにひどい!」と話し同情してもらい、それで満足してしまうのですが、それは他の国からするとまったく理解ができないメンタリティということです。

日本の働く人における就労条件の悪さに驚く外国人が多いのですが、日本人の賃金が上がらず待遇が悪いのは、働く人が改善を要求しないからというだけではなく、構造的な問題もあるということが長い間、指摘されています。

これは海外の人たちは日本人よりもはっきりとわかっています。ところが日本の業界はこれを長く放置していてまったく改善しようとしないのです。また政府もなぜか目をつぶったままなのです。