案外怖い「否定」のエネルギー
→もっともやってはいけない「否定」の話
「否定せざるを得ないときだってある」
「間違っていることを指摘するなってこと?」
そんなことを思う方もいるかもしれません。おっしゃるとおり、当然ケースによっては「否定しない」が難しい場合もあるでしょう。とくにビジネスでは、合理的に判断をするため、相手が間違った判断や行動をしていれば、それを否定せざるを得ない場面も出てきます。ですから、否定がすべて悪いものというわけではありません。
しかし、「否定する」というのは、思っている以上に事態をマイナス方向に動かしてしまうエネルギーがあります。そして、さらに問題なのが、そんな「否定」の持つ力に対して多くの人が無頓着であることです。
ここで私から皆さんにひとつ質問があります。
「否定でもっともやってはいけないことは何か?」と聞いたら何を思い浮かべますか。
少し考えていただきつつ、私の答えをお伝えすると、「もっともやってはいけないのは、相手の存在そのものを否定すること」となります。
●会社からもうお前はいらないと言われたら……
●学校でいろいろな人から無視されるようになったら……
●何を言っても聞き入れてもらえなくなったら……
これらが「相手の存在そのものを否定する」ことです。
存在そのものを傷つけられたとき、人としての尊厳を傷つけられたとき、心にも大きな傷を負ってしまうでしょう。もちろん本稿をお読みになっている方はそこまでの否定はしないかと思います。とはいえ、多くの人がやってしまいがちなのは、「意見」に対する否定だったりします。
そして、あなたが「意見の否定」をしたと思っていても、相手によっては「意見の否定=自分を否定された」と感じることもあるのです。
「必死で考えた企画のプレゼンで全否定された」
「会議で一生懸命に考えた意見に聞く耳を持ってもらえなかった」
否定した本人は「意見の否定」をしたつもりでも、否定された人からすれば、「私の存在が否定された」と受け取ってしまう傾向にあるのです。
つまり、意図的でわかりやすい否定ばかりではないということ。
「でも〜」「そうじゃなくて〜」という言葉を使うことや、相手のミスを責め立てる、といったわかりやすい否定ばかりではないのです。仮に誤解であっても、受け止め方によって「否定された」と感じてしまう人は多いと認識しておきましょう。
→悪気のないところに「否定」は存在する