メタバースは日本経済逆転のラストチャンス

今思い切ってメタバースに投資していかないともったいないからで、これは日本経済逆転のラストチャンスのようなものです。なぜならすでに何冊ものメタバースに関する本に書かれているように、メタバースは日本にとってすごく有利だからです。日本には何しろ、漫画やアニメなど、メタバースにふさわしいコンテンツがたくさんあります。

VRゴーグルをつけてメタバースを体験する人
写真=iStock.com/Khanchit Khirisutchalual
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バーチャル渋谷のように現実そっくりの「デジタルツインズ系」も増えていく一方で、現実世界とかけ離れたアニメや漫画のワールドである「異世界系」も大いに発展の余地があって、日本の未来は後者の方にあるのではないかという気がしてなりません。

もうすでに、VRChat上に『新世紀エヴァンゲリオン』や『鬼滅の刃』のワールドがありますが、人気アニメ、人気漫画の数だけワールドがつくれると言っても過言ではないでしょう。しかも日本にはファイナルファンタジーやドラゴンクエストのように、ほとんどメタバースに近い、高解像度の巨大なゲームをつくる能力があるので、エンジニアがそろっているという優位性もあります。

AIに関しては日本の優位性は特にありませんでした。1980年代の第二次AIブームのときに活躍した当時の研究者がみなさん高齢になっており、若い研究者が育っていなかったからです。

しかし、メタバースについては、かなり強力なはずで、日本にとっては本当にラストチャンスです。これに失敗したからといって未来永劫えいごう日本経済は衰退したまま、とまでは言い切れませんが、少なくとも第四次産業革命の技術の中で、AIやロボットといった分野では、すでにアメリカや中国が優位に立っています。日本に残された最後の可能性がメタバースとも言えるので、そこに賭けてほしいと思っています。

メタバース先進国になるにはどうすればいいか

日本がメタバース先進国になるのに一番重要なことは、アニマルスピリッツを取り戻すことです。技術や元になるコンテンツはすでにあるので、あとは資金を思い切って投入して実行に移すだけです。

もちろんベンチャー企業が育ちやすいようなエコシステム(ビジネス的な生態系)の整備などは必要でしょう。実際に、AIに関しては東大の近くにAI関連企業が集積する「本郷バレー」があるように、エコシステムが機能するような場所をつくって企業を誘致するということは政府の役割としてあり得るとは思います。ただ、政府が主導してそのような場をつくらなくても、おそらく思い切りさえよければ、民間企業主体でどんどん進んでいくはずです。