いま投資しないとアメリカと中国に後れを取る
確かなのは、このタイミングで景気を良くして投資を盛んに行っていかないと先がどん詰まりだということです。メタバースにも結局あまり投資をしなかったがために、アメリカと中国が主導権を握り、日本がいつものように後れを取るということになりかねません。
しかも、メタバースそのものは独占的競争状態、要するに個々の企業やサービスが個性を競い合い、それぞれが差別化された状況になる可能性が高いはずです。
もちろん、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)やスマートグラスなどデバイスについてはすでにメタやアップルが主導権を握りつつあり、独占的になることが予想されます。
ただし、HMDについて言えば、中国のピコ・テクノロジー社が提供する「ピコ(※1)」が利用者数を増やしていたり、同じく中国のピーマックス社が「パイマックス・ポータル(※2)」というHMDにもなるゲーム機を先行発売し、人気が爆発しそうな予感があったりして、まだメタの覇権が確立したわけではありません。
(※1) ピコ(Pico) 中国発のVRヘッドセットのメーカー、ピコ・テクノロジー社による両目で4Kの解像度を実現したヘッドマウントディスプレイ。
(※2) パイマックス・ポータル(Pimax Portal) VRヘッドセットのパイマックスシリーズを手掛けるピーマックス社の携帯型ゲーミングデバイス。
日本企業が狙っていくべきはハードウェア
スマートグラスも次世代のデバイスでまだ可能性が残されているはずなので、ぜひ日本企業に頑張ってほしいところです。すでにエプソンなどがスマートグラスを製品として出しているものの、OSがアンドロイドであるという問題があります。OSを握ることを日本企業は不得意とするのですが、実はOSこそが覇権争いの要だとも言えるからです。
アップルグラスの発売を予定しているアップルはハードウェアとOSの両方を握ろうとしているし、メタ社はメタ・クエスト2にも独自OSが入っているので、すでにOSも握っています。さらにアンドロイドのOSはグーグルのもので、マイクロソフトもマイクロソフトレンズを出しているように、GAFAMの内すでにアマゾン以外は次世代のOSの土俵でカードを切っています。
日本企業が今後スマートグラスをつくっていくとしても、おそらくすべてアンドロイド搭載のもので、OSを握ることは難しいでしょう。だから、もう資金を投じるのはやめましょうというのはそれこそデフレマインドの現れです。ハードウェアだけでも頑張って欲しいところです。