ステップ1で分解したストレスの原因を分析する。

「自分の問題」か「他人の問題」か「自分と他人に関わる問題」か、という切り口と、「現在・過去・未来」のどの時点のことなのか、という切り口で分け、自分の心にどのような欲望(エゴ)が潜んでいるのかを認識するのだ。

欲望の種類は主に「支配」(思い通りにしたい)、「評価(ジャッジ)」(自分のものさしで善し悪しを決めたい)、「問い詰め」(理解しにくいものに「なぜだ」と迫りたい)、「依存」(他人のせいにしたい)がある。

まず「不況で商品がさっぱり売れない」の場合、「不況」は他人(自分以外)の問題で、「商品が売れない」のは自分の問題。時間的には「現在」の問題である。そして売れない理由を不況のせいにしたい「依存」の欲望が見られる。

「部下からの報告が少なく、何を考えているのかわからず、コミュニケーションが取れない」はどうだろうか。

「部下の報告が少ない」のは、現在の、他人の問題。「何を考えているのかわからない」のは自分の問題。「コミュニケーションが取れていない」のは、自分と他人の双方の問題だ。他人を思い通りにしたい「支配」や理解不能なものに対する「問い詰め」の欲望、が潜んでいることがわかる。

株式会社ベーシック 代表取締役
田原祐子

営業戦略コンサルサント、メンタルサポートコンサルタント。営業マンを中心とするビジネスマンのメンタルサポートも手がける。近著は『がんばりやのあなたをラクにするメンタルデトックス』(実業之日本社)。
ツイッターアカウント@taharayuko

「先月はノルマを達成できず、このままでは自分を抜擢してくれた社長の期待に応えられず申し訳ない」の場合、「ノルマを達成できなかった」ことは過去の自分の問題。「このままでは期待に応えられない」というのは、未来の自分の問題。自分に対する「評価」や「問い詰め」の欲望がある。

次に、問題を「変えられるもの」と「変えられないもの」に分ける。このプロセスが非常に重要だ。

他人のこと、過去のことは、変えようがないが、自分のこと、現在のことはいくらでも変えられる。「自分と他人の双方に関わること」は、いきなり他人を変えることはできないが、双方の関係性の問題なので、自分が変わることで相手も変わる可能性がある。また、未来はあくまでも現在の積み重ねの結果であるから、現在を変えれば、未来も変わる。

「他人」と「過去」について、あれこれ悩んでも変えようがないのだから、悩むだけ損である。よく過去の成功体験に縛られてしまう人がいるが、同様に過去の失敗体験に縛られ悩み苦しむ人も非常に多い。しかしそれはエネルギーと時間の無駄であり、一番損をするのは自分自身なのだ。

(大沢尚芳=撮影)
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