12月25日の日経新聞の報道によると、25年度時点でもし金利が想定より1%上がると元利払いにかかる国債費は3兆7000億円上振れし、2%の上昇なら上振れは7兆5000億円になると財務省が推計した。
これでは、支払金利上昇で予算編成はアップアップだ。ちなみに予算の膨張を国債の増発に頼れば、国債需給の悪化で長期金利はさらに上昇していこう。
同記事によると、1%を超える程度の緩やかな金利上昇でも、条件によっては、日本国債の格下げの可能性も出てくるとのこと。国債格付けが主要7カ国(G7)で最低のイタリアは、累積債務の対GDP比が147%なのに対し、日本のそれは264%なのだから格下げの可能性は十分にあると私は思う。
S&Pの格付けでシングルAプラスの日本が、トリプルBのイタリア以下になれば邦銀のドル調達が厳しくなる。日経新聞いわく「大手邦銀は外貨調達の2割程度を国際的な銀行間ルートに頼っているが、この調達手段が締め上げられることになる」。
銀行の調達難が海外の日本企業に多大な影響を与えるのは想像に難くない。
ハイパーインフレのリスクが高まっている
ところで日経新聞が報じたように、日本が格下げを免れることができたのは、日銀が金利をゼロ水準に抑え込んできたためだ。
注意が必要なのは、格付けはあくまでも「国の倒産確率」である点だ。だから日経新聞の言うように、日銀が財政ファイナンス(=政府の歳出を紙幣を刷ることによって賄う)を続けている以上、財政破綻のリスクはかなり低くなるはずだ。自国通貨であれば、必要であれば、いくらでも紙幣を刷れるからだ。
それにもかかわらず、トリプルBへの転落を気にしなくてはならないところが、大問題である。
日銀が財政ファイナンスを続けている以上、財政破綻の確率は低い。しかし財政ファイナンスは「ハイパーインフレを引き起こす」から禁じ手中の禁じ手と言われていた手段だ。財政ファイナンスを継続していれば、財政破綻の確率は減って格下げは起こらなくても、ハイパーインフレのリスクは高まる。
デフレ/インフレはモノやサービスの需給で決まるが、ハイパーインフレは中央銀行の信用失墜で起こるからだ。
なお「他の主要国はコロナ禍や物価高対策で傷んだ財政の立て直しに動いている。日本はコロナ禍の前から大規模緩和の下で野放図な財政運営を続けてきた。日銀の緩和修正はその限界が近いことを突きつけている」との12月24日の日経新聞記事「日本の財政、金融緩和の恩恵に幕 金利上昇が迫る規律」はまさにその通りだと私は思う。
コントロールを失った日銀が信用不安を引き起こす
長期金利のさらなる上昇は日銀自身にとって大問題となる。日銀に巨大債務超過が発生してしまうのだ。