これだけ球団経営に興味のない監督もめずらしい

特例扱いでオールスターや日本シリーズも開催できるようになってはいるが、日本シリーズは進出した2チームとNPBで収益を分配することになっているので、NPBとしては収容人数の少ない宮城球場で行うことになった場合、おもしろくない。札幌ドームの4万人、東京ドームの4万7000人という大きな球場でやってもらったほうがいいに決まっている。

楽天は入場料金を上げることで対応すると言っていたが、それもどうかと思った。実際に日本シリーズが開催された2013年の時点でも収容人数は約2万8000人で、2016年にようやく3万人を達成した。

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このような球場の重要な問題について、僕は野村監督の意見を聞いたことがない。

いくら現場で勝つことだけを考えているといっても、これだけ球団の経営に興味のない監督もめずらしい。こういう話題になるたびにそう思う。経営に口を挟むようなことはしないから、球団としてはやりやすい監督なんだろうけど。

経営に興味のないことが、いいことなのかどうか。収入のない楽天において、どちらの監督の年俸も推定であるが、1億5000万円もする野村監督より4000万円ですむマーティ・ブラウンのほうがいいと言われて、野村監督は切られてしまった。野村監督も、もう少し球団の経営に関心があったら、あと数年続けられたかもしれない。

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