アドバイスよりも深い共感のほうが重要

アドバイス病とは、私の造語ですが、聞けない人の典型的なパターンの一つです。アドバイス病の人はたいてい問題回避型で、解決能力が高いです。ミスは少ないし、仕事の面ではとても有能さを発揮します。でもそれをパートナーとの会話に持ち込んでしまうと、コミュニケーション不全の夫婦となってしまいます。そうして、家庭不和、仮面夫婦、離婚につながります。

問題解決力の高い男性は、ストレスがたまったら自分の殻にこもってゲームをするなどの趣味に没頭します。そうして自分のストレスを解消します。ですから自分が悩みや問題を口にするときは、アドバイスを求めているときだけです。しかし、多くの女性にとっては、心にたまっていることを吐き出すことがストレス解消です。アドバイスが欲しくて話しているわけではありません。愚痴をただただ聞いて、共感をしてほしいのです。

男性の手を握る女性の手
写真=iStock.com/kazuma seki
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それなのに、アドバイスや解決方法を提案されると、「私のことを大事にしていない」と感じてしまうのです。一流は、アドバイスをして解決案を提示するのは、よけいなことだと知っています。じっくり話を聞いて共感をする。そうすることで、一流は、家庭もプライベートも円満な関係を築きます。

・POINT
一流は、悩みを解決しなくてもいいことを知っている
悩みや愚痴を聞くときには、問題解決能力を封印して聞こう

なぜ高齢になると愚痴が止まらなくなってしまうのか

40代以上の女性からの相談で多いのが、「高齢の親と会うと、ずっと愚痴を聞かされたり、ネガティブなことばかり話しているので嫌になる」という悩みです。

なんとか愚痴をやめさせようとして、「愚痴を言うのはやめて!」と伝えても、改善につながらない。かといって、話している悩みを解決してあげようとしていろいろアドバイスを与えても、まったく聞く耳を持たない。そもそもどうして、高齢になると愚痴が収まらなかったり、イライラして怒りっぽくなったりするのでしょうか?

脳の前頭葉には、怒りの感情を抑制する機能があります。この前頭葉は、高齢になると収縮してしまうため、判断力が落ちたり、感情を抑えることができなくなります。男性の場合だと、テストステロンという男性ホルモンの低下によって、精神面が不安定になることもあります。

女性の場合は、エストロゲンという女性ホルモンの低下によって、心身に不調が現れる人もいます。また、喪失体験も影響します。喪失体験というと、親しい人やペットを亡くした体験をイメージしますが、それだけでなく、自分の健康を失っていく悲しみも、怒りに転化されることがあります。