身近な人の愚痴には、どう対応すればいいのか。コミュニケーション心理トレーナーの松橋良紀さんは「無視をするのは論外だが、親身になってアドバイスをすればいいわけではない。愚痴をこぼすのは、解決策を求めているからとは限らない」という――。(第2回)
※本稿は、松橋良紀『聞き方の一流、二流、三流』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
「自分7:相手3」の割合で話している人は要注意
他人と会話するとき、相手と自分が話す割合は次の3つのうち、どれくらいが適切だと思いますか?
①相手:自分=3:7
②相手:自分=5:5
③相手:自分=7:3
②相手:自分=5:5
③相手:自分=7:3
いかがでしょう? 3つのうち、①を選んだ方は、残念ながらかなり話しすぎです。これを選ぶ人は自分が話している時間が長く、他人の話をあまり聞けません。人前で話すことが好きで、プレゼンが得意な人は、それはそれで素晴らしい特技ですが、1対1の関係になると話は別です。
相手にしてみれば、「この人、自分のことばかりで、私にはまったく興味がないんだな」となり、深い人間関係を築くまでにはいたりません。しゃべりすぎることの弊害はたくさんあります。営業であれば、話しすぎる人は契約が取れません。もし勢いで契約が取れてもキャンセルが多いです。管理職なら、部下との意思疎通が取れず、突然退職を言い出されます。
話を聞けない人には情報が集まらなくなり、自分の知らないことが増えていき、前触れもなくいきなり大きな問題が勃発したりします。問題なくうまくやっていたつもりの恋人やパートナーに突然フラれる人も、この傾向が強いです。家庭では、いつの間にか妻や子どもと心の距離ができて、厄介者扱いされるようになったり、突然に離婚を言い出されたりします。いずれも聞けない人に起こりがちなことです。