ストレスに悩まないためにはどうすればいいか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「ストレスをゼロにすることはできない。大切なのは乱れた自律神経をリカバリーできるよう、副交感神経の働きを高める方法を知っておくことだ」という――。

※本稿は加治ひとみ・小林弘幸『かぢ習慣 自律神経と腸活で「なりたい自分」に』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

玄関のビジネスシューズと黒いバッグ
写真=iStock.com/Toru Kimura
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ストレスは必ずしも「悪」ではない

ペットや自然とふれあう、香りを楽しむ、などは、どれも自律神経を整える良い方法です。これらは、「ストレスをなくす」のでなく、「ストレスをやりすごす」習慣と言えるでしょう。

ストレスという概念を初めて提唱した生理学者のハンス・セリエ博士は、「ストレスは人生のスパイス」という言葉を残しました。適度なストレスは人間として成長するエンジンになります。

「荷が重いなぁ」と思っていたポジションに抜擢され、プレッシャーを感じながらもやり遂げたとき、大きな満足感と達成感を抱くことができますよね。

また、トップアスリートは、計り知れないプレッシャーを受けながら、そのストレスを力に変えてパフォーマンスをしています。

決して、ストレス=悪ではありません。でも、過剰なストレスは自律神経を乱してしまいます。また同時にホルモンへの影響もあります。

自律神経を整える方法を知ることが大切

ストレスがかかると、コルチゾールが分泌されます。コルチゾールは代謝や免疫にかかわるホルモンで、体が“ほど良く”働くよう調整する役割を担っています。

ストレスを受けたときに分泌されるのも体を守るためですが、長い期間、過剰にコルチゾールが分泌されると、代謝や免疫のバランスが崩れてしまいます。また、脳細胞が破壊され、認知症やうつ病にかかりやすくなることも分かっています。

私たちの生活はストレスであふれています。暑い・寒いだってストレスですし、仕事や家事、育児などの苦労や不満、SNSで流れてくる不毛な言い争い……ストレスのもとをあげたら、きりがありません。

ストレスをゼロにすることはできません。だからこそ、ストレスがあっても、うまくやりすごし、自律神経を大きく乱さないようにする術を知ること。そして、乱れた自律神経を整える方法を知っておくことが大切なのです。