10年ほど前までは20~40代の働き盛りはリスク許容度が高い(投資期間を長く取れるので)株式で積極的に運用し、退職が見えてきた50代からは債券など安全性重視の資産へシフトしていくのがよいとされてきました。老後の収入減を“投資の収穫”で補うためですが、最近は60歳以降も仕事を続ける人が増えました。となれば、昔のアドバイスを真に受けて「もう年齢的に株を始めるには遅い」など杓子定規に考える必要はありません。仕事の収入があるうちは積極的な積み立て投資を継続してもいいでしょう。
毎月一定額を積み立てていくのはよいとして、これまで貯金だけしかしてこなかったために預金口座に現金が積み上がっていたり、相続や退職金などでまとまった資金が入ってきた場合はどうすべきか。大きなお金が入ってくると、ぜひ運用して資産を大きくしましょうと一括投資を勧めてくる金融機関もあります。
リスクの高い投資は資金を分ける
相場の大底に投資できればラッキーですが、どこが安値局面かは誰にもわかりません。大きな資金でも、私は分散投資を勧めます。例えば資金を12~36等分し、1~3年かけて株や債券の投資信託に換えていくのです。大事なことなので繰り返しますが、大失敗を避けたいなら1度に投資をしないことです。
分散積立投資に欠点があるとすれば、面白みに欠けることです。指数連動型で投資額もタイミングも固定、毎月自動で買い付ける設定をすれば、あとはやることなし。投資していることすら忘れてしまうかもしれません。「わからない」「面倒くさい」で投資を避けてきた人にとってはいい手法ですが、少しでも投資をかじったことのある人には物足りないかもしれません。
私は「個別株投資はやらないほうがいい」と言いたいのではありません。ただ、全資産を個別株で運用するとなると、リスクが大きすぎる。そこで安全性重視で積み立てる「コア」と、積極的にリスクを取って投資する「サテライト」に分けて投資資金を運用する「コア・サテライト戦略」をお勧めします。投資信託への積み立て投資でコアとなる資産を築きつつ、小遣いや追加の投資で個別株投資を楽しめばいい。
これから投資を始めるなら、まずは放置している確定拠出年金(401K)の運用を見直したり、買い物で貯まっているポイントなど生活を左右しない、なくなっても痛くない資金を使ってみるのがいいでしょう。自分で銘柄やタイミングを選ぶ投資は、資金が小さくても十分にドキドキワクワクできます。投資を始めると、資産の値動きを左右する企業の動向や政治経済への関心が高まり、関連知識も増えていきます。ご自身のキャリアにとっても大きなプラスになるはずです。