商品種別だけでなく通貨バランスも考える

注意してほしいのは、株価指数に連動する投資信託であっても「レバレッジ」を効かせた商品(ブル・ベア型ETFなど)はリスクが大きいことです。指数の2~3倍の変動率になるように設定された商品で、極めて短期かつ思惑通りに動いた場合には大きな利益が得られるものの、思惑と逆に動いた場合には損失も大きくなります。

「暗号資産(仮想通貨)」もお勧めしません。資産の裏付けがないからです。

一般に「株はリスクが高い」と言われますが、それでも企業には資産の裏付けがあります。見える資産では企業の保有する現預金や土地建物・機械設備など、見えない資産ではこれまでに培ってきた技術やノウハウ、ブランド価値などがそれにあたります。

しかし、暗号資産にはそうした資産の裏付けがなく、極端な表現を使えば購入者と売却者の需給だけで価値が決まっているとも言えます。

値動きに乗じて莫大な利益を稼いでいる人がいることは承知していますが、その裏では資産を大きく減らしてしまった人も大勢いるのです。現状では老後を見据えた資産形成の一翼を担う資産とは到底言えません。

ハイリスクなイメージのある株に対し、手堅いイメージの投資商品に「債券」があります。株ほどのリターンは見込めませんが、満期まで保有すれば銀行預金よりは有利な利回りが得られます。ただし「債券」にも国債、地方債、政府機関債、社債、金融債、MBS(住宅ローン担保証券)などいろいろなバリエーションがあります。

日本や米国など信用力の高い国債であれば破綻リスクはほぼほぼありませんが、利回りは低めです。一方、信用力の低い新興国や負債の多い企業が発行する債券は設定利回りこそ高いのですが、満期を待たずに発行体が破綻してしまったり、約束通りの支払いが得られない「デフォルト(債務不履行)」に陥るリスクがあります。

また、外国債を外貨建てで投資した場合には、為替リスクもあります。満期を迎えたときに購入したときよりも円高になっていれば、約束通りの利回りは得られても為替差損で相殺されてしまい、トータルではマイナスになる可能性があります。もちろん、現在のように大きく円安が進めば、利回りをはるかに上回る為替差益が生まれる可能性もあるわけです。外貨建ての投資商品で運用する場合には、株や債券といった商品種別だけでなく通貨のバランスも考えてポートフォリオを組むといいでしょう。