最後の時が近づく思い出の車両たち
2022年は長らく“御堂筋線の顔”として親しまれたOsaka Metro10系、“有楽町線の顔”として親しまれた東京メトロ7000系、国鉄特急形電車の代表的な存在だったJR東日本485系、東武鉄道の急行(現・特急)〈りょうもう〉用の1800系として登場し、通算53年の長きにわたり活躍した日光線系統特急用の350系などが引退した。
2023年以降も引退予定や引退が近づきそうな車両が多く、見納め、撮り納め、乗り納めは今のうちであろう。そこで「引退間近」「この先、引退の可能性あり」の車両ベスト10を私の独断で選定した。
JR西日本にのみ残る「絶滅危惧種」
第10位 JR西日本381系
国鉄時代の1973年に登場。カーブ通過時でもスピードを落とさずに走行できる振子車両の第1世代である。エル特急〈しなの〉を皮切りに、1978年にエル特急〈くろしお〉、1982年にエル特急〈やくも〉(いずれも現在は特急)に投入された。
国鉄分割民営化後はJR東海・西日本が継承。前者は2008年に引退。後者は特急〈やくも〉(岡山―出雲市間)のみ活躍が続くものの、2024年春に後継の273系がデビューする予定で、このときに381系が引退の可能性もある。
なお、2022年3月19日から「国鉄色リバイバル車両」の運転を開始。特急〈やくも9・25・8・24号〉で、“タイムスリップ”した雄姿を見ることができる。381系をじっくり味わいたい人向けの車両ともいえよう。
第9位 JR西日本201系
国鉄時代の1979年に登場。国鉄初のサイリスタチョッパ制御(「電機子チョッパ制御」ともいう)を採用した省エネ電車である。当初は中央本線(東京―高尾間)に投入された。
1981年から量産車が投入されると、関東ではオレンジの中央本線用、カナリヤイエローの総武本線用、関西ではスカイブルーの東海道・山陽本線用がそれぞれ投入された。しかし、製造コストが高い難点があり、1985年からコストパフォーマンスに優れた205系に移行されてしまう。
国鉄分割民営化後はJR東日本・西日本が継承。前者は2011年に引退した。後者は関西本線(おもにJR難波―王寺間)を走るのみ。先輩の103系などよりも先に引退する予定である。国鉄の元祖省エネ車両の“咆哮”を聴けるのも今のうちだ。