高校球児の未来を守るために始まったリーグ戦
高校野球のリーグ戦であるLiga Agresivaは、今年、20都道府県に広がり、参加校も133校と全国に広がりつつある。
2015年に大阪から始まったLiga Agresivaは単なるリーグ戦ではない。「アメリカのピッチスマートに準拠した球数制限」「低反発金属バット、木製バットの使用」「ベンチ入り選手の全員出場」「スポーツマンシップの学び(座学)」などを前提としている。
単に野球をするだけでなく、選手の心身の成長を促すことを目的にしているのだ。
甲子園を目指す野球に子供はつまらなさそう
8年目を迎えるLiga大阪は、10月末に決勝トーナメントが行われ、大阪の私立大阪学芸高校が大阪府立今宮高校を12-0で下して優勝した。
試合が終わって喜びの声を上げる選手たちに、大阪学芸高校の小笹拓監督は話した。
「君たちは今年、頑張って優勝した。それは素晴らしいことだが、プロ野球を見てもわかるように、野球と言う競技は優勝するようなチームでも勝率6割台だ。つまり勝ったり負けたりするスポーツなんだ。勝ったからと言って慢心せず、負けたからと言ってがっかりせず、これからも野球を通じて成長しよう」
小笹監督は石川県の名門、星稜高校で正捕手をつとめた。甲子園には出場できなかったが、立教大学でも正捕手として活躍。引退後は地元の独立リーグ石川ミリオンスターズでプレーしたのちに、立教大学に戻って教員免許を取得し、大阪学芸高校に赴任した。
当初は甲子園を目指して、自分が教わったようなスパルタ方式の指導をしていたが「子供たちがつまらなそうな顔をしている」ことに気が付き、指導法を改めた。
「子供たちが将来もずっと野球を好きであり続けられるような」指導にチェンジしようと考えたのだ。そんな時に、高校野球リーグであるLiga Agresivaに出会い、その趣旨に賛同して参加した。