少年野球でリーグ戦を導入する効果

じつはリーグ戦を始めたのは高校生だけではない。小学校でもリーグ戦を始める地域が全国に出てきた。岡山県と広島県ではこの春から「山陽フロンティアリーグ」がスタートした。

岡山でのリーグ戦の様子
筆者撮影
山陽フロンティアリーグの様子

地元の小学生チームが4チーム集まって3回戦、シーズン12試合を戦った(現在は5チーム)。

創設を主導した倉敷ジュニアリバティーズの後藤尚毅GM兼任監督はリーグ戦のメリットについて

「いろんな選手を使えるのがいいですね。“絶対勝たないとだめ”ではなく、野球を通じて楽しく交流を深めることができます。子供たちはのびのびできますし、シーズン通して対戦がありますから、お互いのチームの選手を覚えることもできます。うちの選手は少なくとも投手、捕手を含めて3つくらいのポジションは守れるようになろうと考えています。そのチャンスを与えることにもなります」

勝つことよりも大事なことがある

また新潟県でも昨年から学童野球の新潟信濃川リーグが始まった。実行委員長で新潟島ベースボールクラブ(新潟IBC)監督の加藤雅之氏は

「負けたら終わりの既存のトーナメント戦では、勝利のためのオーダーにならざるを得ません。結果として、野球の一番面白いところであり醍醐味でもある試合に出場しない選手もでてしまいます。

劣等感を抱いたり、野球そのものに失望を感じて卒業してしまうこともあります。卒業後に伸び盛りをむかえる、そういう子を出すことが、野球人口を減らす要因にもなっていることに気づきました。

学童期には志したすべての子どもに野球は楽しいと言う気持ちを植え付けて、継続してもらうことが一番大事だと改めて感じました。もちろん勝利を目指すことに間違いはないのですが、全員出場というルールでリーグ戦を行えば、育成も勝利も目指せます。

また、リーグ戦によって、近隣地域のクラブ同士のコミュニケーションが豊かになって、地域活性化にもつながり、協働して学童野球を盛り上げようという機運が醸成されつつあると感じます。また、低学年の選手も出場するため、応援観戦やクラブをサポートする保護者の数も増え、活気も出て試合自体も盛り上がるように思いました」