読み手によって解釈が異なる「あいまいな表現」を避けて「具体的に書く」ことも英文流のポイントの一つだ。
日本語のメールにもとり入れたい、英文メールの長所について、くわしく見ていこう。その軸となるのが、「用件(伝えたいこと)」を冒頭に書くことだ。
たとえば、「納期を早めてほしい」と頼む場合、日本語では「弊社としても最大限の努力をしておりますが……」などと、言い訳を長々と並べてから、「つきましては納期を」と本題に入りがちである。だが、こういう回りくどい書き方だと、読み手にメールの趣旨が伝わりにくく、行き違いが生じる恐れもある。
一方、英文メールでは、「納期の件でメールいたしました」と単刀直入に切り込み、その背景や詳細を説明してから、「結び」で念押しする。極めて論理的かつ合理的な書き方なのだ。
この文章構成を日本語メールに応用した場合、「あっさりしすぎて、冷たい印象を与えるのでは?」と心配する人もいるだろう。
しかし、ビジネスメール教育のエキスパート、平野友朗さんは「日本語でもこれで十分。メールはビジネスライクでいいんですよ」と、英文流に太鼓判を押す。
「『何をしてほしいのか』を先に書いて、なぜならば……と理由を続ける。それは日本語メールでも同じです。ビジネス上のやりとりなので、へりくだりすぎる書き方はよくない。用件が伝わりにくいし、バカにされているように受け取られることもありますからね。ただし、用件によって、多少の配慮は必要かもしれません。値引きの交渉が目的だとすると、ストレートな表現は避けて、書き出しは『料金に関するお願い』とぼかすなど、工夫をしたほうがいいでしょう」