※本稿は、亀山純一『繫盛する小飲食店のつくり方』(さくら舎)の一部を再編集したものです。
「特別感」を意識しすぎる飲食店は危ない
こんなお店があったら一度は行ってみたいだろうな、ここでしか食べられない料理を出したら食べにきてくれるだろうな……そんな考えで飲食店を開業すると痛い目を見るかもしれません。
飲食店を開業する時に考えてしまう他店とは違う自分のお店の特別感。この特別感を意識しすぎると、一度は行ってみたいお店が出来上がります。
ですが、一度だけで終わってしまうお店になる可能性も高くなってしまうのが、“行きたいと思うお店あるある”だったりします。
これは非日常のお店にも共通するものなんですが、行きたいお店や一度行ってみたいお店はリピーター獲得の観点から見ると微妙です。
では、どういったお店がリピーター獲得に有利でしょうか?
それは行きたいお店ではなく、使えるお店です。
多くのお客様に求められているのは独自性よりも使いやすさを重視したお店です。
どんなシチュエーションにも対応できるお店は、お客様に何度も使ってもらえる可能性が高いです。
具体的には、普段使いができる、記念日やお祝いに使える、ご飯だけもしくは飲むだけでも利用できる、家族使いにも友人との会食にも恋人とのデートにも使いやすい、などシチュエーションが限定的でないほうが遥かにリピーターを獲得しやすくなります。
テレビ取材は諸刃の剣
とはいえ、僕のお店も行きたいお店になってしまったことがあります。
それはテレビ取材が入った時ですね。2018年3月に関西テレビの「おでかけコンシェルジュ」という夕方のニュース番組のグルメ企画に特集されたことがありました。
事前に撮影したVTR収録では、お店に吉本芸人さんに来てもらい、神戸牛コロッケとイタリアンカツレツ(とんかつにトマトソースとデミグラスソースとチーズをのせてオーブンで焼いたもの)を食べてもらいました。
次にテレビ放送当日は関西テレビまで食材をたくさん抱えてタクシーで向かい、テレビ局の簡易厨房でイタリアンカツレツを作り、出来たてを出演者の方に食べていただきました。そして放送翌日から、たくさんのお客様が来店してくれました。