ZEV声明にはもちろん、法的な拘束力などない。したがって、政治的な判断から、とりあえず署名した団体も少なからず存在するようだ。英国が袂を分かった欧州連合(EU)もまた2035年までに新車の100%をZEVにすることを目指しているが、英国もまたEVシフトの先達として、世界的な議論をリードしようと躍起になっている。
EV登録台数は前年から38.4%増
英国自販連(SMMT)のデータによると、2022年1~10月期の新車登録台数は累計134万2712台と、前年同期比で5.6%減少した(図表1)。半導体不足に伴う世界的な生産の低迷が、新車登録台数が前年割れした主因と考えられる。しかし登録車の内訳をみると、いわゆる「電動車」は堅調であり、特にEVが好調なことが分かる。
つまり、EVの登録台数は19万5547台と前年から38.4%増加した。またハイブリッド車(HV)のうち、通常のHVが15万8139台と前年から22.7%増加し、ガソリンのマイルドハイブリッド(MHV)が18万8479台と前年から9.0%増加する一方、ディーゼルのMHVとプラグインハイブリッド(PHV)は不調だった。
なおマイルドハイブリッドとは、ハイブリッド自動車の中でもモーターの出力が控えめである車種を指し、ヨーロッパで広く普及している。高出力のモーターを搭載するストロングハイブリッド車に比べると、車両単価が低く抑制される一方で、着実に燃費が改善し温室効果ガスの排出量が削減できるため、勝手の良い車種である。
EVやPHVの普及を促すため、英政府は自動車税などの税制優遇措置を継続しているが、新車購入補助金については6月に打ち切った。そのため、今年は一種の駆け込み需要が生じ、それがEVの堅調な伸びにつながった可能性も否定できない。現に補助金の打ち切り後、通常のHVやMHVの登録者台数は伸びの加速が顕著となっている。