真結びができるようになったら、いよいよ実用編だ。まず「買いもの袋」。

(1)隣り合った角を、一つ結びする。

(2)そのまま先を、できるだけ小さく真結びにする。

(3)反対の隣り合った角も、同じように結ぶ。

これだけである。一つ結びと真結びの間に輪ができるので、ここが取っ手となる。一つ結びの部分は伸縮自由なので、中に荷物を入れた後は、口を閉じてやるとよい。

驚くべきは、その容量である。隊員1号が使っていた40センチ×30センチ×10センチの中身の詰まったトートバッグが、1メートル四方の風呂敷で作った買いもの袋に、すっぽりと収まってしまった。

見た目は、トートバッグの半分もなさそうなのに、驚異の収容力である。おまけに、重さはトートバッグの10分の1もないだろう。隊員1号も、風呂敷に魅了されてしまった。

続いての「おけいこバッグ」を知るに至って、隊員1号はバッグ派から風呂敷派に寝返ることを決めた。おけいこバッグは、本やノート、画用紙などを立てて収めるのに、都合がよい。

(1)風呂敷を三角に折る。

(2)中に本などを差し込む。

(3)取っ手になる先を小さく真結びにする。

(4)底辺の両端を正面で真結びにする。

これだと、トートバッグよりはるかに荷物が入る。隊員1号の実感では、見た目は同じ大きさでも2倍は入った。しかも、思ったより安定している。小物などは、インナーバッグにまとめて、それをおけいこバッグに入れれば問題ない。

横山さんは、風呂敷の持ち方にもコツがあるという。結び目を手がグーになるようにして持つと、肩に力が入り、肩が凝ってしまう。中指、薬指、小指の3本で、引っ掛けるように持つと、肩が落ち、余分な力が抜けて楽チンである。あくまでも、「持つ」のではなく、「引っ掛ける」のだ。

応用編の「日よけ帽子」は、50センチ四方の小さい風呂敷を用い

(1)て向かいの角を真結びにする。

(2)残った角のうち一つを、真結びの下から引っ張り出す。

(3)もう一つの角を一つ結びにする。

という具合に作る。

横山さんは「とにかく、自分で使い方を導き出してほしい。そうすると、どんどん楽しくなってきますから」と勧めた。

というわけで、「手袋」は、ヒントだけを紹介しておこう。

小さな風呂敷で「おけいこバッグ」を作り、中央の結び目と布の間に手を通す。頂点の結び目に中指を引っ掛け、底辺部分をひねって手首を通す。実は、手袋というよりは昔の手甲のようになる。

たかが布一枚だが、風呂敷の世界は深遠だった。