※本稿は、『プレジデントFamily2022年秋号』の一部を再編集したものです。
前編(スランプケース1~3)から続く
スランプケース4 「塾に行きたくない」と言い出した
回答:中学受験専門カウンセラーの安浪京子さん
Dさんは、6年生になってから勉強に身が入らなくなりました。毎日取り組んでいたワークもやらなくなり、親子の衝突が増えていきました。夏休み明けには、「塾に行きたくない」と言い出し、塾を休むように。そして10月、Dさんは大手塾を退塾しました。
Dさんの家では、お母さんが中学受験に力を入れており、難関校合格を目指してスケジュールを管理したり勉強を見たりしていました。しかし、Dさん自身は受験にあまり関心がなく、友達とおしゃべりするのが楽しいという動機で塾に通っていたのです。勉強も自分からする姿勢ではなく、親に言われるがままにやっている状態でした。
塾をやめた後も、お母さんは家庭教師や個別指導を利用して中学受験を続けてほしいと思っていました。本人は中学受験をやめることには未練がないようでしたが、何年もやってきた受験勉強が無駄になってしまうのも嫌だという気持ちを持っているようでした。
そこで私が提案したのが、「自分でできる量の勉強を続けて、中学受験する」「高校受験に向けて中学の英語や数学の勉強を始めてみる」という2択です。同時に、これまで志望校として候補に挙がっていなかった自由な校風の私立中学や公立中高一貫校を複数紹介してみました。Dさんの親は、これまで「何が何でも難関校」という固定観念を持っていたので、これを取り払ってみてほしかったのです。
そして、Dさんには「自由な校風の私立中に行くためには、今までの勉強の4分の1ぐらいの勉強量でOK」ということを伝えたところ、「それなら勉強できる」という答えが返ってきました。紹介した学校にも見学に行き、その中の2校が気に入ったため、受験勉強を続けることになりました。
最初からスムーズに勉強が再開できたわけではありません。しかしDさんは前向きに学習に取り組むようになり、最終的に私立中と公立中高一貫校に合格しました。
ちなみに、合格後にDさんに受験で一番つらかったことを聞いてみたところ、コロナ禍の休校時だったそうです。この時期は、お母さんが付きっきりで指導したかいがあり、塾のクラスも大幅に上がったそうです。けれど、本人にとっては「しんどくて、勉強が嫌になった」と。「親は子供の成績が上がって良かったと感じていても、子供は真逆の意見だった」ということがあるのです。
Dさんの場合、お母さんが「難関校に進学してほしい」という思いを捨てて、子供に合う学習量で対応できる受験に踏み切ったことが鍵でした。一番、頑張ったのはお母さんだったとも言えます。(安浪さん)
→受験スタイルを思い切って方向転換
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