スランプケース5 頑張っても「成績が上がらない」

回答:中学受験専門カウンセラーの安浪京子さん

中堅校を目指していたEさんは、4年生から大手塾に通っていたものの、クラスはほぼ下位のまま6年生を迎えました。まじめにコツコツ勉強はするものの、塾の授業についていけなくなっていました。特に算数は、塾のテストで全く点数がとれず、勉強時間を増やしても成績が上がらないという状況が続いていました。

Eさんの場合、「大手塾に通っている生徒である」ことにこだわっていて、転塾するという選択肢はありませんでした。とはいえ、塾の授業についていけないという状況が続くと、モチベーションを維持できなくなってしまいます。

Eさんの志望校の入試問題は、基礎力を問う問題が中心でした。そこで、6年生の夏期講習から特についていけない算数の授業の出席を減らし、9月からは授業料は払いつつ塾に通うのをやめ、その分、個別指導を受けることにしました。

算数は、通っている塾の難しいテキストは使わず、市販されている四谷大塚の「四科のまとめ」を使うことにしました。「四科のまとめ」は基礎的な問題を網羅している教材。何回も繰り返し、徹底的に基礎を固めていき、同時に塾のテストで点数がとれなくても、気にしなくていいということを繰り返し伝えました。基礎レベルの問題に絞ったことで、12月から志望校と併願校の過去問を始めたところ、8割以上はとれるようになりました。

また、受ける模試についても工夫しました。11月以降は志望校レベルに応じた模試を受けて、テスト慣れをするようにしました。受ける模試によってレベルが大きく異なることを知り、外部模試では点数がとれることでEさんの勉強に対するモチベーションが上がっていきました。

Eさんのように、まじめにコツコツ勉強するタイプの子は、授業のスピードが速い塾では勉強の成果を発揮できないことがあります。しかし、地道に努力することを身に付けた結果、志望校に合格した後も、中学の定期テストで上位に入っているそうです。

ジャーネーゼの少年は紙に書いています。
写真=iStock.com/SetsukoN
※写真はイメージです

志望校や学力のレベルによっては塾のカリキュラムが合わないこともあります。特定の教科は個別指導や家庭教師を利用するというこのケースは、親にとっては負担が大きいと思いますが、「子供を守れるのは自分しかいない」と、その決断に自信を持ってほしいですね。(安浪さん)

→塾にしがみつかず、個別指導で基礎固め