消費減税はあくまで「個別の政策」
与野党が政権選択選挙で戦うべき旗印は、スローガンや個々の政策ではない。「目指す社会像」である。現在なら「自公政権が進めてきた自己責任の新自由主義的社会か、立憲民主党などの野党勢力が実現を目指す支え合いの社会か」で戦う、ということだ。
「支え合いの社会」実現に向けた具体的な政策が各党によって異なることは、さほど大きな問題ではない。ある政党が消費減税を掲げ、ある政党が給付付き税額控除を掲げたとしても、最終的に目指す社会像が同じであれば、個々の政策は同じ土俵の上で十分に議論できるはずだ。
繰り返す。消費減税で野党の足並みがそろうか否かは、野党が心を合わせて自公政権と戦うという大目標の前には小さなことである。そんな課題のために右往左往するのは時間の無駄だ。むしろ、消費税を口にするたび「野党はバラバラ」とネガティブな印象を振りまくことになり、野党全体にとって何のプラスもない。
それ以上に野党が目指すべきなのは、各党が国会内でしっかり協力して、死に体の岸田政権を結束して倒すこと。そして、できるだけ早い機会に政権を勝ち取り、自らの手で「自己責任社会から支え合いの社会へ」を実現することだ。そのためには、個別の政策より「大きな理念」を共有することの方が、よほど大切なはずである。