民主党の党内対立には常に「消費税」があった
その「信仰」は必ずしも正しいとは言えない。例えば2004年の参院選。岡田克也氏率いる当時の民主党は「年金目的消費税」の導入を掲げて選挙を戦い、改選議席で自民党(当時は小泉純一郎首相)を上回り第1党になっている。
しかし、そうした事実は都合よく忘れ去られた。民主党の激しい党内対立が、消費税と直結してしまったからだ。
民主党内で消費増税、あるいは据え置きと親和性が高いのは、民主党政権時に内閣や党の要職を務めた政治家に多い。枝野氏や岡田氏のほか、菅直人、野田佳彦の両元首相らである。彼らは、当時党内の実力者だった小沢一郎氏に批判的で、俗に「反小沢」勢力と呼ばれていた。
一方、党内で消費税に批判的だったのが、小沢氏や彼に近い議員たち。さらに、民主党政権当時に内閣や党の要職にいなかった中堅・若手議員たちだった。
菅直人政権だった2010年の参院選では、消費増税の検討に言及した菅氏を小沢氏が猛然と批判して党内対立が先鋭化し、結果として党そのものが大敗した。続く野田政権では2012年、民主党と当時野党だった自民、公明両党が、消費税率の段階的引き上げを含む「3党合意」を結んだが、これに反発した小沢氏らの勢力が集団離党し、民主党の衆院選での大敗と野党転落につながった。
「小沢vs反小沢」と呼ばれた民主党の党内対立の底流には、常に「消費税」があったと言っていい。そして、こうした対立は民主党の下野後も、野党の中に根強く残っている。
消費税のせいで野党は一枚岩になれない
消費税は今や、政策課題というよりも、野党内の主導権争いの道具と化している。
消費税というたった一つの個別政策に過剰にこだわるために、野党は一つにまとまれない。むしろ「まとまらない」理由として、消費税が使われる。消費税の存在によって、野党は対立ばかりに焦点が当たり、結果として「自民一強」に貢献してしまう。
まさに「平成の政治」の残滓である。
こんな状況が終わる可能性に期待を抱かせたのが、2020年の東京都知事選だった。