霞が関官僚の半数は地方へ移す

提案のポイントは、以下の3つだ。

(1)現在の都道府県と市町村をいずれも廃止して、約300~400の基礎自治体を創設し、都道府県と市町村の職員は、原則としてどこかの基礎自治体に再雇用する。

(2)全国に8~11の道州を置き、その権限と職員は各省庁出先のものと、霞が関から移管されたものを基礎とする。霞が関で働く職員のうち半数は道州に片道切符で移すほか、現在の都道府県の権限で広域的運用が好ましいものをある程度は吸収させ、基礎自治体から一部職員を出向させる。

(3)都道府県単位で、基礎自治体の連合体を残し、現在の県単位で行われている諸活動を取捨選択して継承する。ただし、首長は基礎自治体の持ち回りで、議会にあたる評議会は基礎自治体議会から派遣、職員は出向のみとして激変緩和措置とする。

県庁所在地への一極集中も排除できる

この提案の狙いは、職員の雇用を地方分散に向かわせることにある。たとえば、山形県庁の職員は米沢や庄内には移すが、道州庁がある仙台には移さない。一方、仙台へは東京から職員を移すのである。

霞が関から道州庁への移籍を求められた職員のうちある程度は退職するだろうから、その分は民間からも中途採用すれば優秀な人材が集まる。幹部候補生の新規採用は当面、道州庁が国家公務員総合職(キャリア)試験合格者から独自ですればいい(同じ試験の合格者から採用した方が国と対等の関係をつくれる)。

霞が関の仕事のうち、たとえば、公共事業など現業に関わるものは職員をすべて道州に移して、政策運営を道州の協議で行うようにする。ドイツでは多くの仕事がそのようにして、中央銀行の理事運営すら各州の代表者が過半数を占めている。

道州の区分けは、現在の衆議院選挙の11比例区(北海道・東北・北関東・東京・南関東・北信越・東海・近畿・中国・四国・九州)を基本とする。四国と北海道は人口が少なすぎるので、中国・四国、東北・北海道で連合体を組んで、一部を共同化するのも一案だし、リニア新幹線開通を前提にしたら、山梨と長野県南部は東海に移管するのがいいかもしれない。

衆議院選挙の11比例区(総務省資料より)
衆議院選挙の11比例区(総務省資料より)