イマジナリーラインを意識せよ

Q 絵コンテの描き方を教えてください

【ユーリ】絵コンテにそれほど画力が必要ないなら、私も描いてみたいな。注意点を教えて!

【監督】いや、特にないよ。思うがままに自分の情熱をぶつけるがいい!!

【ユーリ】えぇ、いや、そういうのじゃなくて……。

【監督】作品は基本的には作り手の強い思いがあってのものだからね。別に間違ってても気持ちが伝わる映像になっていればなんでもいいんだけど、まぁ初歩的な注意点でいうと、イマジナリーラインを感覚的でもいいので理解しておくことは必須です。

【ユーリ】イマジナリーライン?

【監督】たとえば、会話しているAとBがいて、左向きでAが話したあと、Bも左向きで話すようなカメラアングルで絵コンテを描くと、映像を見ていてキャラの立ち位置が混乱するので絶対NG。この場合、上から見て並んでいる二人を結んだ線をイマジナリーラインと言って、カメラを置く位置はこのラインを超えてはならないんだ。

大塚隆史、堀田孝之、フナヤマヤスアキ『アニメができるまで』より
大塚隆史、堀田孝之、フナヤマヤスアキ『アニメができるまで』より

【シンジ】知らなかった。そんなお約束があるんですね。だったら俺の絵コンテ、無茶苦茶だ。

アニメは有名でも監督の名前は無名な理由

Q どうしてアニメ監督ってあまり知られていないの?

【監督】絵コンテまでできあがったら、アニメーターさんや美術さんが、絵を描きまくる工程に入っていきます。設計図ができたら、あとは各工程のプロフェッショナルに力を発揮してもらうまでです。

【シンジ】そうしてできあがってきた絵を、監督や演出家がOKやダメ出しをしていくんですね。

【ユーリ】すごいなぁー! しっかりイメージを持ってみんなに指示して作品を作っていくのが監督……! でもアニメ監督ってどうして一部の人を除いてほとんど名前を知られていないの? 監督のことも、最初はただの盗撮魔だと思ったし(笑)。

【シンジ】僕も失礼ながら、監督の顔も名前も知りませんでした……。

【監督】無名だからね(笑)。

【シンジ】あ……で……でも作品はすごくおもしろいですよ!

【ユーリ】そう! だから自信を持って!