医療崩壊しても死亡率は増えなかった

財政破綻を機に、夕張市の医療でどういうことが起こったのか。以下、データで確認していきましょう。

まずは死亡率の変化です。

医療崩壊の前後で死亡率を比較したとき、普通に考えれば「死亡率は上がる」と予想されます。私もそう思っていました。

ところが図表1のデータによれば、男女ともに死因2位の「がん」は、医療崩壊前後で大きな変化がなく、死因1位の心疾患と3位の肺炎は、逆に下がってしまいました。

死亡率をトータルで見ると、男性が下がり、女性が少し上がり、ほぼ変わりありません(図表2)。死亡者数を見ても、ほぼ横ばいです(図表3)。

医療崩壊したからといって、死亡者が増えたということはまったくなかった、ということです。

しかし、よく考えると計算が合いません。いま挙げた死因上位の三つの疾患だけでも、死亡率の相当の割合を占めるはずです。

それらが下がっているのに総死亡率が横ばいならば、ほかの何かによる死亡率が増えていないと数が合わないのです。

何による死亡率が増えたかと言うと、それは「老衰」です。