管理職の仕事は部下を管理することではない

多くの方は、管理職は部下を管理するのが仕事だと思いがちですが、部下の仕事の邪魔をせず、ノウハウを伝え、自発性をもって仕事ができる環境を整えることも管理職にとって大切な仕事です。また、一度ノウハウを指導したあとも、本当に結果が出ているのかどうか、いまの時代で通用しているのかの精査を続けるべきなのです。

上司から見ると後輩である部下の仕事ぶりは不器用に見えるかもしれません。でも、彼らもそれなりに考えて行動しています。その上で、無駄な仕事があればやめてもらい、結果の出る仕事にだけ集中してもらいましょう。

部下がなるべく短時間でよい数字を出し、早く家に帰れて、少しでも自由な時間を増やせるような環境をつくることが、上司の仕事だと考えてください。

「失敗はきちんと報告する」を徹底する

チームビルディングを考える際、起こり得る最も恐ろしい状況は、「ネガティブな結果が出ているのに、それをチームに報告しない」ことです。ネガティブな状況を改善策も出さずにそのまま放置してやり続けることは、組織の破滅につながります。

だからこそ、上司はまずい事態が起こったら、部下から報告を受けて、改善し、最悪の事態に陥ることを防がなければならない。昨今は、「心理的安全性」という言葉もよく聞かれますが、上司やチーム全体がお互いにネガティブなことも報告できる、心理的に安心できる環境をつくることが大切になってきます。

たとえば、日頃から上司が、「結果が出ないということは、『この方法がダメだったんだな』とみんなが気づく手段になる。チーム全体にとってはプラスなので、失敗はきちんと報告してください」と伝えておいたとしたらどうでしょうか?

それならば、「よい結果が出ていなくても、今後の改善を考える上での材料になったのだから」と部下も前向きに受け入れられるので、悪い状況になっても、隠さず結果を報告するようになるでしょう。

結果をきちんと共有して、一緒に解決策を考えてくれる上司であれば、部下たちも、「こんな一生懸命、苦楽を共にしてくれている人がいるのに、自分がサボっていていいのだろうか」と申し訳なさを感じるようになります。

風通しのよい環境がチーム内に生まれれば、部下がわからないことを上司に積極的に相談するようになります。そのとき上司が伝えたアドバイスをもとに、部下が動く。これは何とも理想的な関係ではないでしょうか。