転職面接において大事なことは何か。人材コンサルタントの井上和幸さんは「これまでの職務で培った人脈を伝えることだ。応募先の企業に経歴や職務遂行能力を強くアピールできる。ただし著名人の名前を出すときには注意が必要だ」という――。
オフィスのパートナーとの交渉会議を開催する
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転職者がもっと有効活用すべき「ある資産」

転職活動にあたって常に意識すべきなのは、応募先企業が何を求めているかです。

企業各社が応募者に求める、魅力感じるものは「専門力資産(経験・知識・スキル)」「人間力資産(資質・人間性・タイプ)」、そして「人脈力資産」の3つの保有資産です。

「専門力資産」は多くの人が自覚的であり(ただし、しっかり棚卸しとすり合わせができている人は案外少ないですが)、「人間力資産」については意識できているか否かは人によりけり、まちまちです。

そして、ほとんど意識されていないとみえるのが「人脈力資産」です。

幹部やリーダーの皆さんの転職を支援していて「もったいないな」「もっと有効活用すれば良いのに」と最も感じる資産です。コロナ禍を受けてその重みは一段と増しています。

応募先企業が最も確認したいこと

最近リファレンスチェックが重視されるようになっています。その人が「本当に実績を持っているのか」「周囲から人望を得ているのか」を知るための手だてとして、これまで一緒に働いたことのある人からのレビューを貰って、人となりの確認をしようということです。

そもそも応募時や面接時に職歴を開示する際に、それにまつわる人脈も自分から開示できている人は少ないのですが、これは非常にもったいないことです。

職務経歴書上でも面接時においても、業務経験の話をする際、どのような人たちとどのような関係性を持って働いてきたのかを、自分から面接・面談相手に積極的に開示し、伝えることを重視しましょう。それだけでも応募先相手の反応は大きく変わります。

知識や意欲はもちろん重要です。即戦力としての活躍を求められる皆さんに対しては、必要な関係者と業務を進めることができることこそ、応募先企業が確認したいところです。

それには、あなたが仕事を通じて、さまざまな関係者との間に長らく培ってきた関係性・信頼性、つまり人脈力資産を示すことが、その何よりの証明書となるのです。