海外では「脱ガチャ」が進んでいる

海外でも「ルートボックス」というものがあり、アイテムやスキンなどの賞品をランダムに得られるという点から、ガチャと同様にとらえられることが多い。しかし一方で、海外ではルートボックスへの規制が強まっている。

英国の11~16歳の23%がルートボックスを購入するなど、2020年の欧州主要5カ国のゲーム市場の40%がルートボックスを含むアプリによる売上で構成されている。2020年の世界におけるルートボックスの売上高は150億ドルに上る。

規制が進んだきっかけは、2017年に発売されたエレクトロニック・アーツ(EA)の「Star Wars バトルフロント II」だ。キャラクター強化などのためにルートボックスを購入しなければならない仕様に批判が集まり、ルートボックス自体への風当たりが強まったと言われている。

執筆現在、ベルギーやオランダなどの複数の国ではルートボックスが違法となり、その他の国でも規制について議論されるなど、海外での法規制は進んでいる状態だ(※)

(※)https://automaton-media.com/articles/newsjp/20181203-80772/

そのため、世界のスマホゲームのビジネスモデルは、ガチャやルートボックスではなく、バトルパスやシーズンパスなどのチケット制に移行しつつある。チケット制は支払う金額は一定で獲得できるアイテムも事前に表示されるため、ギャンブル性はほとんどないとされる。

ゲーム業界がガチャをやめられない理由

国内でも、世論の高まりとともに自主規制が進んでいる。App Storeでは2017年からガチャ入手確率の表示が義務付けされており、同様にPlayストアでも導入済みだ。

業界団体である一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は、有料ガチャに関するガイドラインで自主規制を行っている。ガイドラインでは、協会に加盟する運営会社に対してガチャアイテムの一覧や全ガチャアイテムの提供割合を明示することを定めている。

しかし、ゲーム業界があくまで自主規制にとどまっているのはなぜか。それは近年、スマホゲームの開発コストがかさむようになってきており、高収益が上げられるガチャから簡単には離れられないという事情があるからだ。

ゲームの市場規模を見ると、2021年は家庭用ゲーム機が5705億円である一方、スマホゲームは1兆3001億円となっている(『ファミ通ゲーム白書2022』)。ガチャのみでの収益は公開されていないが、新規ガチャリリースと同時に売上が急増する例は多く、ガチャが売上を大きく左右し、市場の拡大に影響していることは間違いない。

「ガチャは一度やるとやめられない」のは、ユーザーだけでなくゲーム会社も同様だ。非常に魅力的な仕組みには違いないが、規制が進む世界の流れを見ると、日本でもガチャから脱却し、早期にビジネスモデルを転換することが求められている。

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