カードを取得するつもりのない人は相当数いるとみられるだけに、「河野宣言」は岸田首相にはしごを外されてしまったように映る。
一連の経緯をみれば、保険証をマイナンバーカードと一体化させねばならない強い理由があるわけではなく、カードの取得を「強制」する方策として保険証の廃止を打ち出したことがよくわかる。
主要紙は一斉に反対、読売は政府に注文をつける
実際、「マイナ保険証の義務化」に対する反対論は、半端ではない。
主要新聞は一斉に、社説で「拙速」「乱暴」「強引」と論陣を張った。
「拙速で乱暴な転換の背後に透けて見えるのは、マイナンバーカードの普及目標の達成に焦る政府の姿だ。……強引な押しつけはカードへの拒否感と政府への不信を強めるだけだ。そのことを、忘れてはならない」(朝日新聞)
「政府は『誰一人取り残されないデジタル化』を掲げる。そうした理念に反する政策ではないか。……日本では、政府に個人情報を握られることへの警戒感が払拭されていない。拙速は避けるべきだ」(毎日新聞)
「なぜカードが普及しないのか。国民の多くは、国が集めた個人情報がどう使われるのか、個人情報が漏洩することはないのか、利便性以上に不安を感じるからだ。国民の不安を置き去りにして理解を得る努力も怠り、『脅し』にも近い形でカードの普及を図ることは本末転倒も甚だしい」(東京新聞)
政権寄りといわれる読売新聞でさえ、「マイナンバーカードの利用機会を増やし、医療のデジタル化を進める意義は大きい」としながらも、「実現に向けては課題も山積している」として、マイナンバーカードを希望しない人への対応や医療機関の準備不足などを上げ「万全の体制を整える責任が政府にある」と注文をつけた。
日本医師会長「医療現場で負担や混乱が生じる可能性」
肝心の医療現場でも、次々に反発する動きが続いた。
日本医師会の松本吉郎会長は即座に、「医療現場で、負担や混乱が生じる可能性がある」と懸念を表明。
開業医が中心の全国保険医団体連合会は、「河野発言」を批判する声明を発表した。「政府は、マイナンバーカードを普及させたいがために、患者・国民、医療現場にいたずらに混乱を持ち込んでいる」「患者・国民は使い慣れた保険証をわざわざ廃止してマイナンバーカードに一本化してほしいなどとは求めていない」と痛烈だ。
全国労働組合総連合(全労連)は、ネット上で反対の署名活動を展開、すでに10万筆を超える署名が集まり、12月に関係省庁へ提出する予定だ。

