キャラクター広告は何をするゲームかわからない

日本のアニメ・漫画にリテラシーを持ち、これらが好きな人であれば、キャラを推し出した広告は魅力的に映るかもしれないが、すべての人たちがそういう「何をするのかわからない」ゲーム広告を見てダウンロードするとは限らない。筆者のようなオタクからすると、キャラクターがゴリゴリ動いてアクションがかっこいい「アークナイツ」の広告はアニメを見ている気分になり、「マフィア・シティ」の広告よりダウンロードしたい気持ちになる。

2012年10月14日、秋葉原の路上を歩く女性
写真=iStock.com/aluxum
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他にも、「荒野行動」(NetEase)の広告のような、キャラクターを前面には出さない「大衆系広告」も少ないながら存在する。

以上から、中国製ゲームの広告は俺最強系広告(マフィア・シティ、魔剣伝説、おねがい社長!)、オタク系広告(アズールレーンやアークナイツ、ブルーアーカイブ、崩壊3rd、原神)、オタク系と俺最強系の中間にある大衆系広告(荒野行動)の3つに分類できる。

「俺最強系広告」の効果は意外に高い

では、こういった「俺最強系広告」を出しているゲームの売り上げはどうなのか。

先述した通り、俺最強系広告には広告と実際のゲーム内容が異なるものがある。日本ではこうした広告でダウンロードさせても、すぐにアンインストールされて売り上げには直結されないと思われるかもしれないが、案外そうでもない。

ヤフー中国製ゲーム広告の王であり、俺最強系広告の筆頭でもある「マフィア・シティ」はセルランでも結果を出している。2018年5月のリリース当初こそ181位だったが、12月には15位に急上昇。2020年でも平均して17位を保っており、2020年の中国製ゲームでは全世界で6位と、王の名にふさわしい成績だ。

同じくセルランで上位を走る「パズル&サバイバル」(37Games)の広告は俺最強系広告の中でも比較的ゲーム本体の内容に即していて、プレーヤーがパズルを解きながら敵を倒していくのはおおよそ合っている。それでいて、手軽に「俺最強」もできる。2020年12月リリース時は日本市場で600位とほぼセルラン圏外にいたのが、2021年3月には96位、2021年12月には21位と上位に食い込んできた。2021年のダウンロード数では年間9位となっている。

上記の数字から、実際のゲーム内容とは異なる俺最強系広告は一定の成果を出していると考えられる。