日本企業が苦手とする「応援タイプ」
3種類のファンマーケティングの中で、日本の企業が苦手としていて、また、そもそも重視できていないことが多いのが応援タイプだ。しかし、じつはこの応援タイプのファンマーケティングこそ、これから最重要視すべきものとなる。なぜなら、応援タイプを軌道に乗せることで、企業は革新的なビジネスに挑戦できるようになるからだ。
日本のビジネスでは、ファンから信頼される「完璧さ」が重視されやすく、「最初から完璧」を当然視するといっても過言ではない。しかし、それは裏を返せば、「失敗する可能性が少しでもあるビジネスには挑戦しない」という選択に繋がりやすい。信頼や憧れタイプでは、失敗は「ただの失敗」で、避けるべきものになる。一方、応援タイプでは、失敗は「成功のための試金石」であり、成功を掴むための挑戦プロセスの一部となれる。企業が革新的なビジネスに挑戦して、閉塞感のある現状を打開するためには、挑戦できる「応援タイプ」のファンマーケティングが有効だ。
挑戦が「応援したい!」とファンを増やす
「応援したくなるファン」を増やす、応援タイプのファンマーケティングでは、「挑戦」「本気」「物語」の3つの要素が重要になる。人は、誰かの「挑戦する姿や思い」に触れると応援したくなる。それは、芸能人やスポーツ選手でも、ビジネスやブランドでも同様だ。市場を独占する圧倒的な王者に立ち向かって挑戦する。これまでに存在しない、新しいビジネスを開拓しようと挑戦する。苦しみ悩みぬいた末に挑戦して新商品を生みだす。こうした挑戦が、人の心を動かし、「応援したい!」と思うファンに変える。
挑戦といっても、片手間に少し手を出してみるだけでは、応援したくなるファンはついてきてくれない。「なぜ挑戦するのか」「どれほどの思いを持って挑むのか」などをオープンにして、本気度の高さをしっかり伝えることが必要となる。また、応援心をくすぐるためには、失敗と挑戦にまつわる「物語」の発信が効果的だ。ただ完璧で、成功し続ける美談は、憧れの対象ではあっても、応援される対象にはなりにくい。挑戦には失敗が付きもので、困難があるほど、その後の成功は輝いて見える。「苦難や失敗を乗り越えた先で成功に挑戦する物語」を知り、共感・感動することで、「お客」は「応援したくなるファン」になっていく。