デフォルトは英語で「何もしないこと・怠慢」などの意味です。何もしない状態(モード)の脳がネットワークが一番活性化しているという意味の用語です。何もしないときは、脳も何もしていない状態と思うかもしれませんが、全くそんなことはありません。

むしろ逆で、運動をしているときよりも、計算しているときよりも、活性化しています。しかも特定の部分だけではなく、脳全体が活性化しているのです。

芝生に座り伸びをしてリラックスする女性
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです

たとえば、入浴してボーッとしたり、カフェで何もせず時の流れに身を任せているとき。その瞬間、脳はこれまでの情報を統合しています。

要はごちゃごちゃした状態を整理しているのです。インプットした情報を整理し、自分のものにしていくためには、休息の時間も必要なのです。

睡眠中に脳はすごい働きをしているという話を聞いたことがありませんか? これも同じことです。睡眠不足は脳にとっても大敵ですし、若い頃にテストの一夜漬けをしても全く身についていなかったというのも、同じ原理です。

いくら忙しくても、リラックスする時間、休む時間を設けることは脳に必要なことなのです。その時間をつくることで、認知機能が上がります。

ただ、ここはバランスが必要です。ずっとリラックスしたまま、休息したままだとインプットされるものがないので、デフォルトモードネットワークは起きません。認知機能も上がりません。

ですから、毎日やることをちゃんとつくり、その間にリラックス時間をつくる。そのバランスが大切なのです。

趣味が多い人は認知症になりにくい

65歳以上の人の約3割は「趣味の数がゼロ」だそうです。仕事や子育てに奔走していた頃はなかなか趣味の時間をとるのが難しかったという人もいると思いますが、65歳以上になったら趣味を持つことをおすすめします。

趣味は人生を楽しむ要素というだけでなく、「認知症の予防効果」もあるからです。

実は、趣味の数が多い人ほど認知症を発症しにくいというデータがあるのです。男性の場合は、趣味が5つ以上ある人は認知症発症が一番少なく、女性の場合は趣味が4つの人が一番発症が少なくなっています。

趣味が多いと認知症になりにくい理由は、楽しいことに打ち込んでいると「打ち消し」効果でストレスが解消されるからです。ストレスは認知症やうつのリスクを高めることがわかっていますが、趣味に打ち込む人はストレスを感じにくいため、脳が老化しにくいのです。

ある調査によると、生きがいを感じるトップ3は、「趣味に熱中しているとき」「子どもや家族、友人と接しているとき」「美味しいものを食べているとき」だそうです。趣味に打ち込んでいる時間に生きがいを感じる人は世界的にも多く、そのことが脳の認知機能にいい影響を及ぼしています。