昔から「犬を飼っているとモテる」という話がありますが、実験結果からも人間関係を円滑にする効果があることがわかっているのです。男性だけでなく女性が連れていても、話しかけられる頻度が上がるので、コミュケーションが苦手な人は特におすすめします。

また、犬を飼う効果が最もあったのが、一人暮らしの高齢者です。死亡リスクが33%も減ったそうです。犬を介してコミュニケーションを実現するのが、犬を飼ういい部分のひとつなのです。

室温が低いと脳は老化する

脳年齢と部屋の温度が関係していると聞いて、驚く人もいるかもしれません。部屋が寒いと老人脳のリスクが高まります。寒いと血管が縮み、血圧が上がってしまうからです。高血圧は認知症のリスク因子なので、血圧を下げることは老人脳を防ぐために大切なことです。

和室でお茶を飲む女性
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慶応大学の伊香賀俊治先生の研究によると、冬場の居間の室温が低い家と、それよりも5度暖かい家を比べた結果、暖かい家に暮らす人のほうが脳年齢が10歳も若かったそうです。当然ながら、認知症のリスクも軽減されていると思います。

WHO(世界保健機関)は冬場の住宅の室温を「18度以上に」ということを強く勧告していますし、高齢者や子どもがいる家は、さらに高い温度が推奨されています。

実際の冬場の室温はどのくらいの家が多いのか。日本の住宅を2000戸調査したところ、居間で6割、寝室や脱衣所ではなんと9割の家が18度に達していなかったそうです。実際は、居間で16度、廊下や脱衣所は約12度だったそうです。

確かに木の家が多い日本では、冬場はかなり温度は下がりますし、居間はともかく、廊下や脱衣所までは暖房器具がない家も多いでしょう。ただ、脳の老化を防ぎ、血管への負担を減らすためにも、室温対策はぜひ行ってください。

イギリスでは「家の寒さと死亡率の関係」が長年調査されていて、その結果を「住宅の健康・安全性評価システム」として公表しているのですが、その調査によると「16度以下になると、呼吸系疾患に影響が出る」「12度以下になると、高血圧や心血管リスクが高まる」とされています。

「18度以上」、この室温を冬場はぜひ守ってください。

5度の違いで仕事効率が激変する研究結果も

部屋の温度が集中力や作業効率に影響することもわかっています。寒かったり、暑かったりすると、やはり効率は落ちるのですね。脳の状態にも大きく影響します。

アメリカの実験でこんなものがあります。フロリダにある保険会社で、主にパソコン作業をしている女性を対象に、室温と作業の効率を調べる実験が行われました。