リラックスしないと勃起はできない
第5条 排卵日はあえて気にすることなかれ
妊娠を目指してセックスをする場合、どうしても排卵日を過剰に気にするようになってしまいます。第2条で妊娠しやすい時期と妊娠しない時期があると言っておきながら、矛盾しているではないかと思われるかもしれませんが、これは「排卵日を特定しすぎない方がいい」という意味です。男性にとっては重要な意味を持ちます。
先に述べた「排卵日ED」の通り、排卵日を特定されてしまうと、男性は「今日は必ずゴールを決めなければならない(セックスをして射精しなければならない)」という責任を強く感じるようになります。男性が、それを大事なことだと思えば思うほど、その責任感から緊張が生まれます。そして、すでに述べた通り、緊張は勃起の大敵です。リラックスしていないと、勃起という現象は起きないからです。
こうして、排卵日という大事な日になると勃起できなくなる「排卵日ED」を発症するわけです。「失敗したら(射精できなかったら)どうしよう」と心配になって行為に集中できず、その結果、射精できずに終わる……などということもよくあります。行為が始まったらセックスに集中することが一番大事なので、無理もありません。
そもそも、排卵日は周期によって数日変動するものです。妊娠しやすい時期というのはピンポイントで特定されるものではなく、ある程度幅を持った期間を意味します。
妊娠可能な期間は、通常、排卵日までの6日間で、特に排卵日当日までの3日間に性交があれば、妊娠の可能性が最も高くなります(注3)。
(注3)A J Wilcox, C R Weinberg, D D Baird「Timing of sexual intercourse in relation to ovulation. Effects on the probability of conception, survival of the pregnancy, and sex of the baby」N Engl J Med. 1995 Dec 7;333 (2 3) :1517―21.
あくまでセックスは夫婦のペースで
また、排卵日当日にセックスをするより、排卵の1~2日前のほうが妊娠する確率が高いという報告もあります(注4)。
(注4)A J Wilcox, C R Weinberg, D D Baird「Post-ovulatory ageing of the human oocyte and embryo failure」Human Reproduction 13: 394-397, 1998
医療機関で診察を受けている場合、「この日にタイミングをとってください(セックスをしてください)」と指定されることもしばしばですが、自分のペースを崩さないことも大事です。妊娠しやすい期間には幅があること、ピンポイントで指定されると緊張してうまくできなくなることなどを妻に話し、理解してもらった上で、ご夫婦でできる範囲でその期間にセックスをするとよいでしょう。