精子の質が不妊の原因であることも…

また、不妊の原因となる「精索静脈瘤せいさくじょうみゃくりゅう」が発見されることもよくあります。陰嚢の上部には、血管や精管(精子の通り道)や、神経、リンパ管が束になっている「精索」がありますが、その中の静脈が血液の逆流によって拡張した状態になることをいいます。

精巣は、体温より2~3℃低い温度環境に保たれることが、精子を作るのに良い環境なのですが、体温と同じ温度の血液が逆流してくることにより、精巣の中の温度が上がったり、内圧が上がったりすることで、精子を作る機能や精子の質が低下することが分かっています。

精索静脈瘤は男性不妊患者の30~40%に見られ、男性不妊の原因のなかで最も多いと言われていますが、一般男性の15%にも見られます。したがって、静脈瘤があっても健康に問題はなく、不妊にならない人もいます。

入浴時など、自分で陰嚢上部を見て、陰嚢の表面が血管で凸凹していているのが分かる場合は、一度専門病院(泌尿器科)で検査を受けることをお勧めします。

精索静脈瘤のGrade(グレード=重症度)
出典=『射精道』より

精索静脈瘤は、視触診と超音波検査で診断され、Grade2以上の場合は手術が勧められます(図表1)。精液検査で精子数や運動率の減少が見られない場合は、必ずしも治療は必要ではありませんが、なかなか妊娠しない場合は手術を検討します。

治療後は、だいたい7割ほどのケースで精液の所見が改善されます。

妊娠することだけがセックスではない

第4条 生理が終わってからの2週間が勝負の時期と心得よ

効率よく妊娠を目指したいというのも人情でしょうから、本項ではそこをサポートするお話をしましょう。妊娠のメカニズムが理解できていれば、その辺りをうまくやることが可能になります。

月経周期と排卵日、妊娠しやすい期間の関係
出典=『射精道』より

たとえば、月経周期が28日の場合、排卵してから14日後に月経が来るため、月経が始まって14日目頃に排卵していることになります。正常な月経の期間は3~7日間、25~38日周期でやってきます(第2条参照)。25日周期の場合は、月経が始まってから11日目頃、35日周期の場合は月経が始まって21日目頃に排卵しているということになります(図表2)

排卵日当日よりも、排卵の1~2日前のほうが妊娠する確率が高いということを考えると、月経周期が正常な女性では、ほぼ月経が終わっている月経周期8日目からの2週間に妊娠しやすい時期があることが分かります。

なお、排卵してしまった後は、24時間以内に受精しなければ妊娠することはありません。つまり、排卵日の翌日以降は、いくらセックスをしても妊娠することはないのです。

とはいえ、「妊娠しないならセックスしない」ということにしてしまうと、セックスも味気ないものになってしまいがちです。勝負の2週間以外にも、変わらず気持ちののったセックスをすることが、妊活を乗り越えるためには重要なことだと思います。次項で詳しく触れていきましょう。