35歳を過ぎるとリストラされる

深圳は、もともと小さな漁村でしたが、中国初の経済特区に指定されてから急速に発展した移民都市です。それ以来、若くて能力がある人が集まってきました。

ただし、深圳では35歳くらいで失業してしまうことも多いです。歳を過ぎれば「戦力外」とみなされやすいということなので、野球やサッカーなどプロスポーツの選手寿命なみです。失業すると、広州に移ったり地元に帰ったりする場合が多いようです。そうならないうちに深圳に家を買えたとすれば、真の成功者です。

こうした事情があるため、長期居留民の平均年齢は32.5歳で、60歳以上の人は人口の6~7%くらいにしかなりません。

経済特区になる以前から深圳に住んでいた人たちは開発時に大金を渡され、マンションに住めるようにしてもらっています。言葉は悪いですが、成金になっています。

“働く人たちの街”でも見どころはたくさん

深圳は“働く人たちの街”でありながら、住んでいる人たちのマナーが良くて、観光などで行っても気持ちがいいのがうれしいところです。近代的な高層ビルが建ち並ぶ未来都市なのに、緑も多くて街全体が美しい。気候も良く、空気もきれいなので、過ごしやすいです。

夕暮れ時の未来的な超高層ビル
写真=iStock.com/yongyuan
※写真はイメージです

中国らしい歴史遺産や景勝は楽しめませんが、ユニークなテーマパークがあります。紫禁しきん城や万里の長城などのミニチュアが展示されている「錦繍中華きんしゅうちゅうか」。少数民族の暮らしが再現されていて、民族舞踊などを見ることもできる「中国民俗文化村」。地球上の名所がジオラマ化されている「世界の窓」がそうです。言葉にすると陳腐なようでも、それぞれの施設はしっかり楽しめるものになっています。

ユニクロ、イオン、スシローが並ぶ広州

省都の広州も、もちろん発展しています。広州を本拠とする自動車メーカーの広州汽車集団はトヨタやホンダと合弁事業を展開していて、広州周辺には日本の製造会社の下請けをしている工場が多いのも特徴です。

そのため広州には日本人が多く、日本の商業施設もずいぶん進出しています。ユニクロやイオンモールなどがそうです。

2021年にはスシローの中国1号店がオープンしてニュースになりました。

2018年には広州と深圳、そして香港を結ぶ高速鉄道「広深港こうしんこう高速鉄道」が開通しました(広州―深圳間は2011年の開通)。広州南駅と福田ふくでん駅(深圳)は35分ほど、福田駅から西九龍にしきゅうりゅう駅(香港)は15分ほどで移動できるようになっています。