ブランドの頂点マセラティは最優先で生産

マセラティのギブリやレヴァンテの新車もこの通りではよく見かける。ブランドアンバサダーを務める英国のデイビット・ベッカムがワンオフモデルを手掛けたスーパーカーであるMC20が日本でも順次納車されており、間もなく見かけることになりそうだ。

マセラティは現在、大手自動車メーカーであるストランティスの傘下にある。フランスPSAとイタリア・フィアット、米国クライスラーが合併したストランティスは、アルファロメオ、DSオートモービルス、ジープ、プジョー、フィアットなど多数の有力ブランドを有するが、その頂点に君臨するのがマセラティだ。

市内に駐車豪華なマセラティレバンテの車
写真=iStock.com/Roman Stasiuk
※写真はイメージです

マセラティは、単価も利益率も高く、富裕層顧客を留めブランドイメージ維持向上のため、ストランティスのなかでも、部品供給と生産が最優先されているという。そのため日本国内での納車も比較的順調であり、この通りでも新車をよく見かけるわけだ。

なお、フィアット(現ストランティス)から、2015年10月にIPO(株式新規公開)して分離独立したフェラーリも、その高いブランド力と独自の部品供給ネットワークを駆使して、生産体制を維持しており、日本国内の納車も同じく順調だ。

数字も紹介しよう。世界的な品薄状態のなか、国内では多くの高級外車ブランドが前年割れのなか、日本自動車輸入組合(JAIA)によると、マセラティが前年比118.6%増加の765台、フェラーリが前年比134.4%増加の1028台と、いずれも過去最高水準の月間販売台数となるほど売れに売れているのだ(2022年1月から8月までの累計新規登録台数、以下同)。

得意客である富裕層優遇し、最高級車の生産を優遇する

複数台を保有したり、長年、定期的に乗り換えてくれたりする富裕層の得意客を優遇し、限られた生産体制のなか、利益率の高い最高級ブランドや最高級グレードに限定特別車に、生産を集中し優先的に供給するという仕組み。これは言わば、自由市場主義社会における合理的な動きだろう。無論、正規ディーラーや富裕層が批判されるようなことではないものの、別世界の話のようではある。

フェラーリやマセラティだけではない。2021年、日本全体で4台しか売れていない超高級外車ブガッティは、今年はすでに3台売れている(前同)。ちなみにブガッティ・シロンの価格はベース価格で3億円超えだ。

ロールスロイスも、前年比121.1%増加の178台も売れている(前同)。ベントレーや、マクラーレン、アストンマーチンも引続き好調な売れ行きだ。富裕層や外苑西通りの住人たちにとって、もはやコロナ禍など関係ないのかもしれない。

一方で、テスラを含むEV車が国内でさらに普及するには走行距離や品質に充電スポットといった課題もあり、まだ少し時間がかかりそうだ。高級外車のEV車も外苑西通りでは少数派だ。

まだまだ、日本では海外旅行なども限定されるなか、独特の甲高いエグゾーストサウンドを奏でる高級外車のガソリン車をコレクションに加えておこう、買っておこう、という動きが、金あまりのなかで継続しているということだ。