表現を変えるだけで印象はガラリと変わる
「物はいいよう」といいますが、あなたはパートナーと話をしたり、LINEを送ったりするときに、どれだけ表現に気を配っているでしょうか?
慣れ親しんだ人であればあるほど気を遣わなくなるのは仕方ないことではありますが、頻繁にメッセージを交わす人ほど、本当は気を配るべきです。たった一言が仇となり、地雷を踏んでしまうこともありますし、小さなミスが積もり積もって、気づいたら心が離れてしまっている、ということにもなりかねません。
相談者のSさんは、夫から「昔はもっとかわいい女だったのに」といわれ、どうしたものかと悩んでいました。
ところがSさんのLINEのチェックをしたところ、旦那さんとの間で、こんなやりとりをしていたのです。
【Sさん】今日、何時に帰ってくる?
【夫】一時
【Sさん】遅いやん!
Sさんは「さびしいから早く帰ってきて」という思いから「遅いやん!」と書いたというのですが、そのメッセージを受け取った人はどういう気持ちを抱くでしょうか。
そういう思いがあるなら、なぜその気持ちをそのまま書かないの? という話です。たとえば、次のように書けば、Sさんに対する夫の印象はガラリと変わることでしょう。
【Sさん】今日、何時に帰ってくる?
【夫】一時
【Sさん】お仕事、おつかれさま。なるべく早く帰ってきてね。さびしいから
同じことを伝えるにしても表現方法を変えるだけで相手に与える印象は全然違ってきます。こうした心理現象を、「フレーミング効果」といいます。
通販のチラシなどに「ご購入から十五日以内であれば全額返金いたします」という宣伝文句が書いてありますが、これが「ご購入から十六日以上過ぎた場合は返金できません」と書いてあったら、「返金できないの?」と否定的にとらえて、買うのをやめてしまうかもしれません。
言葉は使いようで相手に与える印象を変えるだけでなく、相手の意思決定や態度に影響を及ぼすのです。
Sさんは「なるべく早く帰ってきてね、なんて恥ずかしくて」と躊躇していましたが、相手の自分に対する印象を変えたいと思うのなら照れている場合ではありません。
照れないコツはなりきること。Sさんであればかわいい女になりきって、「かわいい女ならどう伝えるのだろうか?」とセリフを考える。つまり女優になるということ。私がパートナーシップの天才だなと思う女性は、みんな名女優です。