メッセージは「自分都合」でなく「相手都合」で

私が依頼されてパートナーとの関係を修復していく流れのなかに、メールやLINEの会話を見直すというものがあります。これはとても大切なことで、悪気なく送った文面であっても、デリカシーに欠けていて相手の心を傷つけたり、怒らせているということがあるのです。

そこで、文面を知らせてもらい、どのように相手に返事をしたらよいか、事細かにアドバイスすることから始めます。

パートナーとの関係が悪化してしまう人の文面には、ある共通点があるのです。それは、相手へのメッセージがすべて「自分都合」であること。

言い換えれば、相手がどんな気持ちなのか、いまどんな立場や状況なのか、まったく考慮せず、それにも気づいていない人が多いのです。

ところが私が一つひとつ細かく指摘していくと、ふだん自分がいかに「自分都合」なメッセージを送っているのかに気づき、驚かれることが多いのです。いうまでもなく、一方的にいいたいことを伝えるだけでは関係の修復にはつながりません。相手がきちんと受け止め、納得したうえで歩み寄ってくれるよう促さなくてはいけないのです。

そのために重要なのは「相手都合」に徹すること。ポイントは伝え方です。言葉選びも大切ですが、構成も同じくらい大切。

まずは「お仕事お疲れ様です」とか、「いつも家族のためにがんばってくれてありがとう」と相手をねぎらうところから入らなければ素直に受け止めてもらえません。そのうえで何を伝えたいのかを明確にします。長い前置きや回りくどい表現はいりません。いったい、何がいいたいのだろう? というのでは相手をイライラさせるだけです。

深刻な気持ちを伝えたいというあまりに暗いトーンになってしまわないようにすることも「相手都合」に合わせる範疇です。

スマホのアプリでチャットする女性の手元
写真=iStock.com/oatawa
※写真はイメージです

内容はもちろんですが、全体的なイメージが重いと相手をドンヨリさせてしまいます。LINEであれば上手に絵文字を使ってバランスを整えるとよいでしょう。

「自分都合」のメールやLINEを送る人は、直接会って話し合いをする場合にも要注意。話し合いの場合は、相手の都合に合わせること=タイミングを計ることです。仕事から疲れて帰ってくるパートナーを玄関で手ぐすねを引くように待ち構えていて、いきなり話を切り出すなどというのは言語道断。

そんなことをすれば、聞く耳をもってもらえないどころか、相手の怒りを買い、感情と感情がぶつかったあげく、関係性がさらに悪化することも大いに考えられます。

相手が一息ついたときやリラックスしたムードのなかで、おだやかな口調で「少し話したいことがあるんだけれど、いま大丈夫?」と前置きをして、相手の同意を得てから話し始めるのが得策。

そして「あなたはどう思う?」と意見を求めるようにすることで話に耳を傾けてもらうことができるでしょう。けっして、先に結論を決めて相手に同意させようとする形をとってはいけません。

メールやLINEにせよ、話し合うにせよ、自分ならどうだろう? と相手の立場に立って想像すればよいのですが、感情的になっていると「自分都合」になってしまいがちなのです。相手にアクションを起こすときは、自分の気持ちを落ち着かせてからというのが鉄則です。