「鉄道以外」の分野をどれだけ売り込めるか
わが国の鉄道運営に関するノウハウ=ソフトウエアを輸出することは、鉄道各社にとってビジネスチャンスにつながる可能性が高い。これまでは鉄道インフラ(線路の建設や車両など)の輸出が重視されてきた。それに加えて人材の教育や駅を中心とした不動産の運営や管理など、ハード以外の分野でも本邦鉄道各社の強みを発揮できる分野は増えるだろう。
問題は、海外進出のリスクをどう負担するかだ。JR東日本のように経営規模の大きい企業であれば自力で海外での事業体制を強化することは可能だろう。しかし、私鉄各社の中には自力で海外事業を強化することが難しいケースもあるだろう。その場合の対応策としては、複数企業の合弁によって海外での鉄道運行を支援する企業を設立し、海外の鉄道企業向けのコンサルティング・サービスなどを提供することが考えられる。
鉄道各社に求められるのは、過去の発想にとらわれることなく、ビジネスモデルの変革を加速することだ。そのスピードを高められるか否かが、中長期的な鉄道各社の事業運営体制に大きな影響を与えるだろう。