親子連れで勧誘「ものみの塔」とは

「子どもと新宗教」といえば、子ども連れで「聖書のお勉強をしませんか」と戸別訪問を行う「ものみの塔」が有名かもしれない。

ものみの塔の正式名称は「ものみの塔聖書冊子協会」で、その信者は「エホバの証人」と呼ばれる。

ものみの塔は、1870年初めにアメリカピッツパーグの商人、チャールズ・T・ラッセルを中心とする聖書研究グループが、キリスト教の一派に発展したものといわれる。「エホバ」を唯一の神としてあがめ、聖書に書かれたことを「神エホバの言葉」として、一字一句生活のなかで実践することを信条としている。

公益財団法人宗教情報リサーチセンターによると、ものみの塔の日本国内信者は21万6472人とのこと(2014年最終更新)。

ものみの塔信者は、機関誌『ものみの塔』や姉妹誌である『目覚めよ!』の配布活動を、公共への奉仕だと考えており、公共の場所で人々に近づいて配布することもある。これはすべて無料で配布され、読み物としてバスターミナルやコインランドリー等、公共の場所に置かれていることもある。

3カ月ほど集会に潜入して見た信者の姿

1988年、『主婦を魅する新宗教』の取材の際、私は3カ月ほど、地域でのものみの塔日本支部の集会に参加したことがある。当時、ものみの塔の信者活動である「冊子の販売」に時間を取られて、夫婦間での摩擦も多く、それを背景にした殺人事件も起きていた(1986年、横浜市)ことから興味を持った。

地域の集会は「王国会館」と称される集会場で行われ、日本支部の集会は神奈川県海老名市で行われていた。

私がこれまでに取材した他の新宗教と比べて中流階級と思われる家庭の主婦の信者が多く、また、夫と思われる男性信者も背広姿で参加している様子も珍しく感じた。

女性信者たちに話を聞くと、子育ても一段落して、「聖書の勉強がしたい」「お仲間が欲しい」ことを理由に入会したと話していた。