「仲間はずれにされたのか」「つらくなりそう」

「うちは文系学部中心なので、自然科学系分野で『国際卓越研究大学』になれない。だから、仲間はずれにされたのか。ぬけがけにも思えた」

東京外国語大のある教員はこう話す。

「うちは一橋大との統合かな。でも、文系同士なのでお金を稼げない。大学ファンドはむずかしそう。これから、つらくなりそうです。東京農工大、電気通信大などを巻き込んで大学統合するしかないのでは」

東京外国語大、東京農工大、電気通信大、一橋大は西東京(多摩地域)にある。東京学芸大も近い距離なので、いわば西東京5大学統合への期待であろう。

繰り返すが、東京工業大、東京医科歯科大の統合構想は資金獲得という側面がかなり強い。これは地方都市の大学に影響を与えるかもしれない。

過去に議論された地方大学の統合

地方大学の統合についても、過去に議論された前例がある。

前述の2000年代前半の行政改革において「第二東大」構想が起こったとき、文科省内では大学の具体的な名前をあげての統合シミュレーションが語られていた。

たとえば次のような統合である(大学名はいずれも当時、のちに高知医科大が統合により高知大医学部となったケースなどがある)。

◆北東北3大学
弘前大、岩手大、秋田大
◆北陸地区国立大学連合
富山大、富山医科薬科大、高岡短期大、金沢大、北陸先端科学技術大学院大、福井大、福井医科大
◆四国国立大学協議会
徳島大、鳴門教育大、香川大、香川医科大、愛媛大、高知大、高知医科大
(文科省ウェブサイトでいまでも閲覧可)

大学統合に関する議論は以前からあった。戦後、旧制の大学、高等学校、専門学校などが統合再編し、新制大学(現在の大学)をつくった当初から議論にのぼっている。

かなり古い話を紹介しよう。75年前である。

北陸地方では、1947年、石川県内に「北陸総合大学設立準備委員会」をつくり、石川、富山、福井の3県で北陸総合大学構想が浮上した。

四国においては、四国4県で「四国総合大学」構想があった。大学史にこう記されている。