「ウケるコンテンツ」を盛り込んだ自国産が手っ取り早い

海外での「日本風」コンテンツの自作は、こうしたデメリットを回避することができるのだ。海外においても「日本風コンテンツとは何か」が十分に広まった現在、日本人から人気を博した「純日本コンテンツ」を待って自国仕様に翻訳、改造する必要はもはやなく、ウケる要素を盛り込んだ「日本風」コンテンツを自作した方が、時間もかからず権利関係も一目瞭然だというわけだ。

このままの状態が続けば、近い将来において純正の日本コンテンツが見向きもされなくなる可能性は十分にある。

では、今後も日本のオリジナルコンテンツのプレゼンス(存在感)を維持していくにはどうしたらよいのだろうか。

筆者は、冒頭で触れた集英社の「ジャンプ+」のように、海外ファンが日本のコンテンツを無料ないし同じタイミングでアクセスできるような新たな仕組みが必要だと考えている。

「フリーアクセス」できる体制の構築が必要

中国では「ビリビリ(bilibili)」などのオンラインビデオプラットフォームが日本からアニメを買い付け、視聴者が無料で視聴できる環境があるから、年々日本コンテンツオタクが生み出されている。しかしそういう環境やサービスがない国や地域では、今後「オタク」の高齢化が進むだろうし、プレゼンスが下がっていくだろう。

今までは80年代から続く海賊版による日本コンテンツや日本文化への認知やリテラシーを向上させる環境があったが、現在は正規版でしっかりビジネスできる状況に変わってきた。正規版が普及するのは喜ばしいことだが、日本のテレビでのアニメ放送のように、視聴者側が無償で接する方法がなく、海外で日本のコンテンツにアクセスできる方法がかなり限定的になってしまっている。

しかしいまさら海賊版を容認するわけにはいかないだろう。となれば、入口となる日本コンテンツに「フリーアクセス」できる体制とプラットフォームの構築が必要なのではないかと筆者は考える。

誤解しないでほしいのは、フリーアクセスとはいえ、すべてを無料で配信しろというわけではない。例えば、中国ドラマはそのほとんどをアラビア語やスペイン語などの字幕を付けてYouTube上で配信している。逆に日本や韓国など配信権・放送権売却を期待できる国や地域の言語の字幕はない。こういう部分は日本も見習ってもよいのではないだろうか。

もはや「コンテンツが良い」だけでは不十分だ。見たい人が見ればいいという時代は人口減少や日本コンテンツのプレゼンス低下によって終わりを迎えるだろう。海外では雑誌やBBS、フォーラムといったメディアで、熱心に分析、紹介してくれた現地の人たちがいたからこそ、今日があるといえる。グローバル市場に挑戦してきたゲームに比べ、コミックやアニメには人員教育・配置や考え方の転換といった「脱ガラパゴス化」が必要だ。

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