リーグ戦の導入を前向きに検討すべきだ
試合に出られない部員を減らし、日本スポーツのすそ野を広げるために必要なことは一戦必勝で勝利至上主義、エリート主義につながりやすいトーナメントを削減し、「リーグ戦」を導入することだ。
リーグ戦は一戦必勝ではなく、勝ったり負けたりしながら戦うことができる。常にベストメンバーである必要はなく、控え選手を使ったり、一つのポジションを複数の選手で競わせるなど、さまざまなトライアルが可能だ。当然、選手の経験値は上がるし、指導者の指導力も向上するのだ。
人数が多ければAチームだけでなくBチーム、Cチームも作ればよい。若手指導者にとっても良い経験になる。
甲子園のアンチテーゼとして高校野球のリーグ戦「Liga Agresiva」が全国で始まっていることは以前の記事に紹介したが、小学生でも「ベンチ入りした全員が試合に出られる」ことを前提にしたリーグ戦が各地で始まっている。
今年4月に岡山県、広島県で始まった「山陽フロンティアリーグ」もその一つだ。筆者は開幕戦を取材したが、小さい子でも試合に出るとなると、そわそわして準備をし始める。
試合への集中力が違うし、応援の力の入れ方も変わってくる。どんな下手な子供でも、体が小さくても、足が遅くても、試合に出るとなれば、必死で頑張ろうとする。
ベンチから試合の時間中、声出しをしているのと、どんな役割にせよ試合に出て、投げたり打ったり走ったりするのとでは、子供はどちらが成長するだろうか?
リーグ戦はトーナメントよりも試合数が増え、大会を開催するコストも手間も増えるが、より多くの選手が試合に出場できるリーグ戦は、競技人口の減少を食い止めるためにも、導入を検討すべきだろう。
連日、甲子園の熱戦に多くの人が注目しているが、アルプス席でメガホンを振っている「野球部員」にも、注意を払っていただきたい。これも「日本野球」の現実の一端なのだ。